子どもの健康な心の条件――それは「愛着」
子どもの気持ちに受容的に対応することで、親子の愛着は築かれる
発達心理学のなかで、最も重視されている指標の一つに「愛着」があります。愛着とは、親などの主たる養育者に対して感じる信頼や親密な感情のことです。人生の最初期である乳幼児期に、子どもが養育者に愛着を感じているかどうかは、その後の人生を左右すると言っても過言ではありません。
子どもが泣いたりぐずったりしたとき、養育者が優しく声をかけながら抱きしめたり、あやしたり、気持ちを受け止めて安心させてあげたりすることで、子どもは養育者への愛着を感じます。そして、養育者に愛される自分に、自信を持つことができるのです。
信頼関係と自尊感情の枠組みは、幼少期につくられる
精神医学者のボウルビーは、養育者への愛着を源とした他者への見方、そして自分自身への感じ方の枠組みを「内的ワーキングモデル」と呼び、その後の人生の対人関係と自尊感情を方向づけるものと考えました。ポジティブな内的ワーキングモデルを持つ人は、他者と自分に対する信頼感を持ち、周囲の人々と積極的に関わりながら、外界で活動することができます。また、自分への信頼感が外界においても自分を支え、社会の中で生きていく自信をもたらしてくれます。
つまり、子どもが家庭で楽しく過ごし、幼稚園や学校でも友だちや先生と積極的に関わりながら外界を楽しんでいる場合、養育者との間で愛着の関係が築かれ、ポジティブな内的ワーキングモデルが形成されているものと考えられるでしょう。
次のページでは、乳幼児期に築かれる3つの愛着スタイルについてお伝えします。