ピアノ/ピアノ初級編(基礎を固めよう)

ピアノの強弱をコントロールして表現力を高める

ピアノの強弱をあらわすフォルテ(f)やピアノ(p)などの表記。単に音量を「強く」または「弱く」弾くだけでは音楽を表現しているとは言えません。表現力豊かな演奏をするためには、その曲にふさわしい音量を丁寧にコントロールすることが大切。強弱の付け方を練習し、表現力を鍛えてみましょう。

北條 聡子

執筆者:北條 聡子

ピアノガイド

強弱でピアノ演奏の表現力をつけよう!

表現に関わる用語の分類表

表現に関わる用語の分類表

ピアノの演奏に違いが出る理由……同じ楽譜でも演奏は変わる!」という記事の中で、曲について自分なりのイメージをもつことの大切さと、それを聴き手に伝えるための表現力の必要性をお知らせしました。楽譜上には、表現をつけるための用語や記号がいろいろ書かれています。実際にそれらをどのように演奏の中で反映させるかが、演奏の出来栄えを左右する大切なポイントです。

そこで、楽譜に書かれている表記を「音量」「速度」「雰囲気や曲調」「個々の音のニュアンス」を表すものの4つに分類し、それぞれについて表現を深めるためのヒントをご紹介していきます。今回は「音量」のフォルテとピアノの弾き方についてです。
 
<目次>
 

フォルテは「強い」、ピアノは「弱い」だけではない!

譜面にf(フォルテ)がでてくると単純に音量を「強く」、そしてp(ピアノ)がでてくると「弱く」弾くという人が意外に多いものです。その結果、何の曲を弾いてもフォルテは力任せに弾いた乱暴な大きな音、ピアノは痩せ細ってかすれたような小さな音で弾くことになりがちです。

フォルテとピアノは、単に「強い」「弱い」というだけでなく、その曲が書かれた時代や作曲家、曲調、ジャンルなどによってふさわしい音や弾き方は違います。

たとえば、モーツァルトの「トルコ行進曲」とドビュッシーの「アラベスク」の冒頭には、どちらも同じ「p (ピアノ)」の表記がありますが、同じようにただ弱く弾けばいいというわけではありません。モーツァルトは、ひとつずつの音の粒が小さな点としてはっきり聞こえる軽快な雰囲気のピアノ、一方ドビュッシーは、音の粒のひとつずつよりも横の流れがなめらかに聞こえる少し丸みを帯びた柔らかい雰囲気のピアノが、作曲家のスタイル、時代、曲調にふさわしい弾き方です。
モーツァルトとドビュッシーの楽譜

作曲家のスタイル、時代、曲調によって同じ音量表記でも弾き方は違う


また、悲しげな音、躍動感のある音、怒りの音、歓喜の音……など、音にはその箇所に合ったニュアンスがあります。音量だけではなく、どのような雰囲気の音がふさわしいかを常に意識しながら弾くことが、表現力豊かな演奏の第一歩となります。
 

フォルテ(強い音)を弾く時に注意すべきポイント

強い音を弾こうとすると体に力が入り、叩いたような乱暴な音色になってしまいがち。現代音楽の中には、そのような打楽器的な音色を必要とする曲もありますが、それら一部のスタイルの曲を除いて、ふつうはどんなに大音量でも音楽的な音でなければいけません。

堂々とした雰囲気や感情の高まり、壮大な場面を表現するフォルテの音を弾く時には、指先はしっかり力を入れますが、手首や肩、腕は力まないで、体重を乗せて弾くイメージを持つことが必要です。力任せに弾くと、音量は出ても汚い音になって音楽的にはマイナス要因となるので気をつけましょう。
 

ピアノ(弱い音)を弾く時に注意すべきポイント

できるだけ弱い音で弾こうとすると、指先の力を抜いて鍵盤をそっと浅く撫でるようなタッチになりがちですが、それではホールの後方まで響くような弱音は弾けません。どんなに小さな音でも、痩せて響きのない音色になったり、聞こえたり聞こえなかったり不安定な演奏にならないように気をつけましょう。

また、弱い音を弾く時は、強い音を弾く時以上に肩や腕に力が入ってしまいがち。特に、肩が上がっていると指先でつつくようなタッチになり、音が抜けやすくなるので注意しましょう。
音量を表す記号とピアノ鍵盤の写真

音量を上手にコントロールして表現力豊かな演奏を目指そう!


音量のコントロールと言うと、どうしても力で調整するイメージがありますが、メロディーラインなど音を浮き立たせたい場合は指を立て、伴奏などやわらかい音色で弱く弾きたい場合は指を少し寝かせるなど、指のどの部分で打鍵するか、また打鍵の速さによっても音量やニュアンスは変わります。いろいろ試して、その場面にふさわしい音作りを心がけるようにしてください。


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