ピアノ演奏の大切な基礎 スタッカートを上手に弾くには?

ピアノでスタッカートを弾くときのポイントを解説します

ピアノでスタッカートを弾くときのポイントを解説します

「音を切る」と日本語訳されることの多いスタッカート(staccato)。でも、イタリア語本来の意味は「離れた」「分離された」だということをご存知でしょうか?「切る」と「離す」では少しニュアンスが違いますね。「切る」という言葉には鋭い意味合いが含まれるので、スタッカートが出てくると、とにかく短く切ろうと手首や腕に力を入れてバタバタした動きで弾いてしまいがちですが、それでは音楽の流れが損なわれてしまいます。そこで今回は、スタッカートを弾く時に注意すべき点や上手に弾くために心がけたいポイントをご紹介します。

スタッカートの演奏効果を考える

スタッカートには「軽やかさ」を表現する意味と、音を「浮き立たせる」また「インパクト」を目的として使われる場合があります。スタッカートが出てきたら、単に音を短く切るということだけに注意を払うのではなく、作曲家がそのスタッカートにどのような表現、効果を求めているのか考えて、その音のイメージに近づけるように指や腕の使い方を練習していくことが大切です。
楽譜の写真

単に短く切るだけでなく、演奏効果を考えながら練習しよう


スタッカートのNG打鍵

音をなめらかにつなげて弾くレガート同様、スタッカートもマスター必須の演奏テクニックですが、レガートよりも苦手意識を持っている人が多いのではないでしょうか。なぜ上手にスタッカートが弾けないのか?スタッカートが苦手な人に共通してみられる弾き方をまとめてみました。
  • 腕や手首に力が入り過ぎている
  • 打鍵後、指を跳ね上げ過ぎる
  • 少ししか鍵盤に触らず、タッチが浅くなる
  • 鍵盤に触れる指の面積が大き過ぎる
  • 手首を振り過ぎる
どれも、音が揃わなかったり、重たく乱暴に聞こえる要因となります。確かに、レガートを弾く時よりも腕や手首に力は入りますが、それは打鍵の瞬間だけでその前後には適度な緩みが必要です。

また、スタッカートを弾く時は、上から力で押すような打鍵ではなくて、鍵盤の底に小さなバネがついていて、軽く跳ね返されるような下からの動きをイメージした打鍵が必要です。躍動感のある軽やかなスタッカートにするためには、適度な緊張と緩みの両方が欠かせないのです。

スタッカートを弾く際のポイント

ひとことにスタッカートと言っても、曲のテンポや強弱、何音符についているのかなどによっても弾き方は違ってきますが、一般的にスタッカートを弾く際にどのようなことに気をつけて打鍵すればいいのかまとめてみました。

  1. 指先を立て、鍵盤に触れる面積をできるだけ小さくする
  2. p(ピアノ)など弱く弾く音でも、鍵盤の底まで打鍵する
  3. 指先から鍵盤までの距離をできるだけ揃える
  4. 指先が硬いイメージをもつ(指先が小さなメタルや陶器のようなイメージ)
  5. 手首をぶらぶらと上下に振りすぎない
  6. 指先だけに意識を集中させず、肘でコントロールするイメージをもつと過度に力むことを防げる
  7. 肩を上げない(上半身をかたくしない)
  8. 軽く跳ね上げられた反動で次の音を弾くように意識すると、スタッカートの音の粒が横に流れて自然な音楽に聞こえる
  9. ピアノ鍵盤と手の写真

    軽やかなスタッカートを奏でるには打鍵のフォームが大切


メロディーラインのスタッカート

下の曲は、ブラームス作曲の「8つの小品」作品76より第2番、奇想曲の冒頭です。
ブラームスの楽譜

メロディーにスタッカートが使われている例


このように、メロディーが連続したスタッカートの場合、最初から音を切って練習すると、旋律がきれいに横に流れて聞こえなかったり、過度に力んでしまいがちです。

まずは音をつなげて(レガートで)弾いてみて、旋律の流れや手首、肘の動きを確認しましょう。スタッカートは、そのつながった旋律を軽やかに聞かせることが目的なので、レガートで弾いた時の音楽の流れが損なわれるような音の切り方になっていないか気をつけましょう。

重音が連続する場合のスタッカート

複数の音を同時に弾く重音のスタッカートは、メロディーを弾く時よりも更に力が入りやすく、手がバタバタと上下に動きがちです。横の流れが不揃いにならないように気をつけるのはもちろんですが、縦に重なった音のバランスをよく聞くことが整った軽やかな響きを作るための大切なポイントです。
練習曲の楽譜

重音でスタッカートが連続して使われている例


重音のスタッカートを弾く際の注意点

  1. 手を上下に振り過ぎない
  2. 重なった音のバランスを良く聞く。たいていは一番上の音が他の音より大きく聞こえるように弾く
  3. 指先だけで次の音へ移動しない。肘から動くイメージで弾くと力みが緩和される
  4. 鍵盤を叩くのではなくて、指先でつまむようなイメージの打鍵をする
  5. 特に親指が重くなりがちなので、内側に曲げる角度をしっかりつけて鍵盤に触る面積を小さくして打鍵する

スタッカートの種類

スタッカートは、表記の仕方によってその切り方やニュアンスの違いを下のように3つのレベルに区別することができます。

スタッカートの種類の画像

音の長さは、数値化したイメージで実際の演奏では正確に守られるべきものではない


これらの表記は、作曲家がどのようなニュアンスのスタッカートを求めているかを知る大切なメッセージなので、演奏する際にはしっかりと弾き分けるように心がけたいものです。

スタッカートをマスターする!

音のニュアンスや演奏時の力の入れ方、抜き方、指や手首の使い方などを言葉で説明したり理解するのはとても難しいことです。

人によって体の大きさも動き方も違いますし、同じ説明を聞いてもピンと来る人来ない人とさまざま。たとえば「熱々のホットプレートに触ってしまい、“熱いっ!”とびっくりして手を離した時の感じ」と言ってスタッカートのコツをつかめる人もいれば、逆に大袈裟に手を動かして悪い癖がついてしまう人もいます。

大切なことは、いつでも同じようにスタッカートの音を短く切るのではなく、そのスタッカートをどのように弾くと曲にマッチするのか、弾く前に考えて音のイメージをかためておくこと。そして、そのイメージどおりに聞こえるために、どのように指や腕を動かせばいいのか、教本を読んだり、レッスンで先生がくれるヒントを参考に自分で試行錯誤を重ねていくことです。

レガート同様、スタッカートは表情豊かな演奏には欠かせない大切なテクニックのひとつ。努力を惜しまず、是非マスターしましょう!
スタッカートの音符が入った楽譜

スタッカートは大切な基礎テクニック。努力を惜しまずマスターしよう!


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