神楽坂でいただく手打ち蕎麦「玄菱(げんりょう)」
玄関
東京メトロ東西線の神楽坂駅の矢来口を出て、右側の牛込天神町信号に向かって早稲田通りを歩き、信号の角を曲がってすぐに「玄菱(げんりょう)」はある。ビルの間に挟まれるように佇む、見落としてしまいそうな小さな間口。エリアとしては”神楽坂”に入っているが、いわゆる神楽坂の繁華街からは離れた場所である。入り口には紺色の幟(はた)が目立ち、暖簾は粋な江戸情緒を想わせ、白抜き文字は男の料理を感じさせる堅実さが伝わってくる。
武士のような潔さを感じる店内の雰囲気
店内
店内は左に椅子席、右が調理場になっている。どこまでも飾らぬ店内、壁に貼られたメニューは、大胆かつ素朴な文字で書かれている。寡黙の店主・柳沢正明氏はサライ「日本一の蕎麦『食べ歩き』の極意」でも紹介されており、蕎麦打ちの姿がまるで勇敢な武士のようである。数々の料理もまさに男の料理を彷彿とさせる。
シンプルな梅キュウ
梅キュウ
梅キュウはざく切りのキュウリに練り梅がまぶしてある、ごく普通の料理であるが、キュウリのざく切りと少し酸っぱい梅との相性は抜群に良い。鰹節が味をまろやかにしている。
厚切りのベーコンとトマト
蕎麦前「宗玄」とベーコンとトマトのつまみ
厚切りのベーコンと粒わさびを和えていただく。粒わさびはベーコンの旨みを引き出してくれる薬味である。その後は熟したトマトでさっばりとして、またベーコンが進むという繰り返しである。
蕎麦前は「宗玄」の無濾過生原酒
宗玄(そうげん)
能登杜氏の醸す「宗玄」は2つの蔵が、平成12酒造年度~17酒造年度まで6年連続で全国新酒鑑評会で金賞を受賞する快挙を達成している。なるほど、男の料理に合いそうな蕎麦前の選定である。
穴子天冷やかけ蕎麦
穴子天冷やかけ蕎麦
本格的石臼挽きで国産そば粉を100%使用している蕎麦は甘皮がたっぷり入った、きわめて太く蕎麦の風味がある。香ばしい揚げたての穴子の天ぷらが、さっばりとした冷たい蕎麦とよく合っている。夏場の食欲がないときにおすすめの一品である。
蕎麦も料理も無骨というか、男の料理というか、個性が発揮されたお店である。夜は花番さんもいないので、店主自ら料理を運んでくれるが体育会系の蕎麦屋といった感じ。少し殺風景であるが料理は美味しい。
その他の蕎麦のメニューははせいろ650円。田舎(十割)、しらゆき(更級)、かけ700円と値ごろ感がある。夜は3500円からのコースもある。自家製粉の粗めの挽きで打たれた外二の「せいろ」は、しっかりとした歯ごたえが良く、野趣あふれる「田舎」は極太である。いずれも蕎麦切りはやや不揃いだが、これがかえって特徴となり印象深い蕎麦となる。盛りもたっぷりあり、しっかりとお腹を満たしてくれる。
【店舗情報】
店名:玄菱(げんりょう)
住所:東京都新宿区天神町2
TEL(予約):03-3267-5122
交通手段:東京メトロ神楽坂駅 徒歩3分・江戸川橋駅 徒歩7分、都営大江戸線牛込神楽坂駅 徒歩10分
定休日:不定休(ほぼ無休)