セクシュアルマイノリティ・同性愛/LGBT

LGBTが働き続けられる職場環境づくりを(4ページ目)

職場におけるLGBT差別をなくし、できるだけLGBTが会社をやめなくてすむようにしたいというのは長年の課題であり、そうした状況を何とか改善していこうとする取り組みが今、着実に実を結びつつあります。今回はゴトウが著者として参加している『職場のLGBT読本』をご紹介するとともに、この季節ならではのさまざまなテーマでコラムをお送りします。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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戦後70年に思う(1)

ゴトウは仕事がら、1日に50回も60回も日付と名前を紙に書かなくてはいけないのですが、8月6日は、日付を書くたびに、厳かな、祈るような気持ちになっていました。原爆死没者慰霊碑に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」という言葉がこれほど重みを増している8月6日もなかったのではないでしょうか…。

ついに鶴瓶さんはじめ心ある芸能人の方なども声を上げはじめましたが、今、この国(政権)はとても危険な方向に進んでいます(憲法違反である戦争法案が強行採決された日には、さすがにゴトウも官邸前デモに行きました。すごい熱気でした)。そんななか、SEALDsという若者を中心としたデモや、高校生たちの「とりま廃案!それな!それな!」という新しすぎるデモが生まれ、民主主義の再生といいますか、歴史的な画期といいますか、深い感銘を受けました。

どれだけ今の政権がヤバいかという話は日々、何百万人もの方たちがSNSなどで綴っている通りですが、ゴトウはそれを繰り返すのではなく、ゲイライターとして、ゲイだからこその何かを書かなくては…と思い、戦争とジェンダーに関すること、そして、ゲイこそが戦争と最も遠い場所にいるのではないか?という切り口に絞って書くことにしました。長いので2ページに分けてお送りします。

小学校のとき、体育館に入場するときにピシッと腕を振って行進する訓練があって、ゴトウは男子の中でも飛び抜けてナヨナヨしてたので、目をつけられて、それでも男か! 金玉ついてんのか? 男なら男らしく、しっかり腕を振れ!…などと怒鳴られ、みんなに笑われました。そのことが、同級生に「オカマ」とからかわれたことよりもずっと、つらい経験になっています。「軍隊的なもの」が本当にいやでいやで仕方がありませんでした。男子に丸刈りを強制する中学も本当にいやだったし、男は全員柔道をやれと強制する高校も本当にいやでした(女子といっしょにダンスがやりたかったのに…)。いっそカミングアウトして女子のように扱ってもらえたほうがどれだけ幸せだろう…と思っていました。(同じように感じてきた方、少なくないと思います)

ゴトウが「戦争ダメ、絶対」と訴えるのは、戦争とはそういう「軍隊的なもの」が社会の隅々にまで徹底され、ゲイやトランスジェンダーが非国民扱いされるものだからです。身体が全力で拒否するのです。(70年前の戦争の時も、体が男であるというだけで徴兵され、戦地に送り込まれたゲイやトランスジェンダーがたくさんいただろうことを想像すると、本当に胸が痛みます…考えるだに恐ろしいことです)

戦争とは、殺人とか虐殺とか強奪とか強姦とか人権蹂躙とか差別とか、あらゆる暴力が一気に発動するものであり、暴力性の最たるものですが、それを好き好んで起こし、熱狂できる、その感性が全く理解できません。徴兵されて戦地に行くのが男性だけであるというところにも現れていると思いますが、戦争とはマチズモ=男権主義の産物だと思います(若桑みどりさんは、戦争を生み出すものは「家父長制的男性支配型国家」であると述べています)

ブッシュ政権がイラク戦争を推進すると同時に同性婚を断固として禁止したことは決して偶然ではなく、また、ナチスしかり、今のロシアしかりですが、戦争を好むマチズモな(本当は臆病かもしれない)為政者は、例外なくゲイを弾圧してきました。軍隊的なものとゲイ的なものとは相容れない、対極にあるものなのだと思います。

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