着地点が見えないまま作品に向かう。そこに不安を感じることはないですか?
平山>確かに、初演は怖くてしょうがないです。みなさん拍手してくださるかなって、不安で不安でしょうがない。いつもミステリーツアーだから、自信満々で出した作品はこれまでひとつもない。だけど、その不安と緊張感を楽しむタイプでもある。そこがコンテンポラリーを好きなところでもあります。わかっているものに手を出すということではなくて、どこにもない自分だけのもの、本当に自分のものになるかわからないものを最後まで続けるところに充実感を感じているんです。原田>私は最初にメールをいただいた時点で、“あ、平山さんだったらきっと間違いないんだろうな”って思ったし、当初から信頼感はすごくありましたね。不安はないです。自分は平山さんのクリエイションに対してどれだけいいものが出せるかなっていう個人的な気持ちだけ。そこは自分でもすごく挑戦している感じがします。
加賀谷>クリエイションでポンと生まれたものから始まって、最終的にどこにいくかわからない。それが積み重なっていく訳だけど、やっぱりこれまでの平山さんの作品にある一貫した何かを信じているところがあって。きっとそういう方向性にいくんだろうなって思うし、そこに対する信頼感はすごくありますね。ただ年齢もそうだし、現実的な不安は沢山あります。でも今こうやって集まれているのを思うと、歳を取って楽しいなって思います。
若いときから互いに知ってはいたけれど、たぶん今この年齢だから集まったんだと思う。今はひとと対峙すること、ひとと出会って、ひととちゃんと向き合ってダンスするということがすごく楽しいし、またどんどん年を重ねるごとに楽しくなっている。身体的に大変になってきたとか、疲れが取れないといった現実はあるけど、問題はそこだけであまりネガティブな感覚はない。かっこ付けなくてよくなってる、ムリしなくなっている。“これが私です!”って言える。だから、不安はないですね。