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年収が低いと夫婦関係は、悪くなる? 人生の幸福条件(2ページ目)

「世帯の収入が少ないと、夫婦の関係は悪くなる」というイメージを持ちますが、実際のところはどうなのでしょうか? また、収入と幸福度の関係は? じっくり時間の取れる夏休みに、自分と夫婦、家族が幸せになれる条件について、考えてみませんか?

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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所得は下がっても、生活の満足度は上がっている!?

収入が少なくても、幸せになれる方法は、いくらでもある!

収入が少なくても、幸せになれる方法は、いくらでもある!

最近の経済情勢、社会情勢から、収入は期待するほど上がらず、税・社会保険料負担によって可処分所得は下がり、消費税や円安によって、物価は上昇しているという厳しい家計状況です。では、所得が下がっていると、生活の満足度も下がっているといえるのでしょうか?

下のグラフは、1987年以降の国民の所得(全世帯の平均)と生活及び収入・所得に対する満足度、今後の生活の重点の関係を表わしたものです。2003年頃までは、実際の所得と生活及び収入・所得の満足度は、比例していました。けれども、2003年以降の傾向を見ると、実際の所得は下がっているにも関わらず、生活及び収入・所得の満足度は上がっています。

※満足度・今後の重点:「国民生活に関する世論調査」(内閣府)、所得:「国民生活基礎調査」(厚生労働省)のデータより、グラフ作成

※満足度・今後の重点:「国民生活に関する世論調査」(内閣府)、所得:「国民生活基礎調査」(厚生労働省)のデータより、グラフ作成


■モノの時代からココロの時代
今までは、所得を得て、生活に必要なモノを購入し、生活の豊かさを求めてきたけれども、ある程度、モノが簡単に入手できるようになると、生活の満足度を「物の豊かさ」から「心の豊かさ」にシフトしてきていることに起因しているのではないかと思います。「国民生活に関する世論調査」によると、今後の生活の方針として、「物の豊かさよりも心の豊かに重きを置く」と回答している人の割合は、一貫して増加していることから、このことがうかがえます。

■家族の幸福を決める指標は?
では、「心の豊かさ」とは、どのようなものなのでしょうか? 国民の幸福度を測る指標として、「国民総幸福度=GNH(Gross National Happiness)」 があります。GNHには9つの指標で構成されています。
(1)心理的な幸福
(2)国民の健康
(3)教育
(4)文化の多様性
(5)地域の活力
(6)環境の多様性と活力
(7)時間の使い方とバランス
(8)生活水準・所得
(9)良き統治。
【参考コラム:夫婦で家族幸福度(GFH)を高めよう!

これらを眺めてみると、「日本は幸せな国なのか?」という疑問が沸いてきます。けれども、それを憂いていても始まりません。ここでは、ちょっと視点を変えて、このGNHを家庭に置き換えて、考えてみましょう。

●「家族総幸福度=GFH(Gross Family Happiness)」
(1)家族が幸せと感じて生活している
(2)家族が健康でいられる
(3)子どもに必要な教育を受けさせ、夫婦もキャリアアップができる
(4)家族の趣味を尊重できる
(5)ボランティア活動や地域のコミュニティに参加できる
(6)環境に配慮した生活を送ることができる
(7)理想のワークライフ・バランスを実現できる
(8)働く環境を整えて、収入を安定させることができる
(9)夫婦でお互いの価値観を尊重し、コミュニケーションを取りながら家庭を運営できる

いかがですか? 仮に日本の幸福度が低いとした場合でも、夫婦で家族総幸福度を上げることは可能です。収入以外の要素が、家庭の幸福度を決める要因の大部分を占めているからです。

日本人のお年寄りは、アメリカ人よりも幸福と感じていない!?

次に、ちょっと、壮大なテーマになってしまいますが、「人生」という長期的なスパンで幸福を考えてみましょう。下のグラフは、「平成20年国民生活白書」で、日本人の幸福度分析をしている章に掲載されているものです。年齢による幸福度の推移を日本人とアメリカ人で比較したものです。アメリカの場合、年齢と幸福度の関係は、U字型になっているけれども、日本の場合、L字型になっている点が特徴です。アメリカに限らず、諸外国も年齢と幸福度の関係は、U字型になるのが一般的であると考えられています。

※「平成20年版国民生活白書」より、グラフ転載

※「平成20年版国民生活白書」より、グラフ転載


■ユングの幸福の5条件
幸福に関する研究や考え方は、さまざまありますが、私が大切にしているのは、心理学者として有名な、ユングの幸福の5条件です。

一般的には、以下の通り、紹介されていることが多いです。

●ユングの幸福の5条件(1)
(1)心身が健康であること
(2)楽しい人間関係が持てること
(3)美しいものを美しいと感じられること
(4)ほどよいお金があること
(5)朝起きてやらねばならない仕事があること

いろいろ調べてみると、(4)と(5)は、もともとは、1つの文脈で扱われていて、もう一つの条件が抜けていると考えられます(原著等の文献に当たっていないので、正確ではないかもしれません)。

●ユングの幸福の条件(2)
(1)心身ともに健康であること
(2)夫婦関係、家族関係、友人関係などの、個人的、私的関係が良好であること
(3)芸術と自然の中に美を見出す能力
(4)まあまあの生活水準と満足に思える仕事
(5)人生の浮き沈みに満足に対処することを可能ならしめる、哲学的あるいは宗教的見地

上記の(4)まあまあの生活水準と満足に思える仕事が、(4)ほどほどのお金、(5)朝起きてやらねばならない仕事に分かれていて、(5)の人生のあらゆる困難に対処することができるような、人生観・世界観といった行動基準を持つ(ガイド平野解釈)という条件が抜けてしまっているのです。

通常、人生の経過とともに、自身の人生観・世界観というものが確立されてきます。そうすると、幸福の条件の(5)は満たされます。日本人は、確固たる人生観・哲学・宗教を持たない国民性であると、一般的に言われています(もちろん、お持ちの方も大勢います)。このことから、日本人が高齢になった時に幸福度がそれほど上がらない、1つの要因になっているのではないかと思います。

ファイナンシャルプランナーとして、幸せな人生を実現するお手伝いをさせていただいていますが、「幸せな人生」とは何かを、多くのお客さまから教えていただいています。

「自分の幸せ」、「夫婦の幸せ」、「家族の幸せ」には、何が必要なのか……、すぐに答えは見つからないでしょう。ゆっくり休みをとれる時期に、あなたにとっての「人生の幸福の条件」を、じっくり考えてみてはいかがでしょうか?

【関連リンク】
夫婦で家族幸福度(GFH)を高めよう!
「2人の夢シート」で、幸せになる方法
人生を豊かにする、「3つの資産」づくり
家族のミッション・ステートメント(FMS)を作ろう!
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