ユニクロに光輝く「と」!
ご覧いただこう。これは、ガイドがユニクロ(ゆめタウン別府店内)で購入したものである。遠くから見るとゼブラ模様のようにも見えるが、よく見ると、将棋ファン垂涎(すいぜん)の駒模様がほどこされているのだ。この品の存在を知った時、私はすぐに、ユニクロに飛んだ。いや、飛んだというのは、もちろん比喩だが、魂は確かに飛んだ。千里をかけたのである。では、お待ちかねの駒柄を拡大しよう。 心のファンファーレを鳴らして、ご準備いただきたいっ!
出世の大パレード
ジャーン。どうであろうか、整然と並ぶ「と金」達。「と」は「歩」がパワーアップした成駒である。前進のみ、それもたった一マスしか動けなかった「歩」が敵陣に突入し、「金」と同じ動きを獲得する。つまり「と」は最大の出世駒なのである。言葉を換えれば、この柄は「出世がパレードしている」状態なのだ。 どんな大企業でも、これだけ出世すれば、社長だろう。 抜群に縁起良い装束なのだ。ぜひ、通勤服にもご利用いただきたい。ただし、この服での出勤を許可する太っ腹な企業は、まれであるとも考えられる。ゆえに事前の調査が必要だ。なぜユニクロに?
ガイドはファッションに疎い、いわゆるガラパゴス・オジン(以下ガラオジ)である。だから、ユニクロはちょっと苦手である。なんか、どこか気恥ずかしいのだ。製品や素材の名前はちんぷんかんぷんだし、あのスマートで明るい店内が、ガラオジには富士樹海のように感じられてしまうのだ。だが、ユニクロはハイカラだとは薄々感づいている。だから、こんな純和風のデザインをユニクロが開発するなんて、嬉しいけれど、アンビリーバブル(ちょっとハイカラに書いてみた)であった。いったい、どういう経緯でこの素晴らしいシャツが世に出たのであろうか。松竹歌舞伎とコラボ
この商品、ユニクロと松竹歌舞伎がスクラムを組んで生み出したものだ。ポケットの部分をご覧いただきたい。これ、松竹歌舞伎の印鑑デザインである。Tシャツという西洋文化と日本文化の松竹歌舞伎が合体しちゃったのである。もちろん、この商品だけではない。バリエーション豊富な品が棚に並んでいるが、ユニクロはそのHPで、チーム結成について、まずこう語っている。日本の伝統文化を、世界のポップカルチャーに。 (ユニクロHPから引用)
なるほど、やっぱり、ユニクロはハイカラである。正直に書こう。ガラオジにとって、ポップカルチャーなるものの正体は不明である。しかし、何となく、その意気込みは伝わってくる。その上で、歌舞伎についてこう語っている。
ふむ、歌舞伎に対するリスペクトが伝わってくる文言だ。それで?歌舞伎は江戸時代に誕生し、二〇〇五年にユネスコの無形文化遺産に宣言された日本が誇る伝統芸能であり、四百余年を経た今日も人々を魅了し続けています。(同上)
と結んである。これでよくわかった。ユニクロは松竹歌舞伎とのタッグで、日本文化を発信していこうとしているのだ。だが新たな疑問が湧いてきはしないだろうか。なぜ、歌舞伎が「と」模様なの?ともに「真善美」という美意識を尊重しながら、日本から世界へ向け、服を通じ、芸能を通じ、新しい文化の創造をし続けています。今、ここに両者の思いが重なりあい、日本の伝統文化を、服を通じて、現代のポップカルチャーとして、世界にご紹介していきたいという思いが芽生えました。それが松竹歌舞伎×ユニクロプロジェクトです。歌舞伎の根源は大衆に根差した芸能であり、ユニクロの服は、大衆に受け入れていただける服と確信しております。(同上)