東京一極集中を改善し、地方への若者定着をねらう

そもそも今回の奨学金支援基金が設けられたきっかけが、総務省と文部科学省が連携した「地方大学を活用した雇用創出・若者定着」政策です。

現在、地方の人口減少、東京への一極集中の改善が日本の重要課題となっています。

そこで、政府のなかに設けられた「まち・ひと・しごと創生本部」の目玉政策が、奨学金返済支援制度につながりました。

若者が地方を離れるタイミングは、大学進学時と大学卒業後の初めての就職時がとりわけ多いそうです。振り返ってみれば、私自身もそうでした。
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<図3>年齢別東京圏への人口転出入

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<図4>東京圏への転入超過

この制度の狙いは、地方大学をバックアップすることと、都会から地方へと若者が定着し易くすることです。

地方大学と地元企業との連携強化

独自の取り組みにより、他大学との差別化を実現している地方大学がありますが、地方の多くの大学は学生募集に苦戦しています。

そこで、今回の地方創生政策では、長期インターンシップや実践的な職業教育を単位認定するなど、地方大学と地元企業とのより積極的な関係強化が打ち出されています。
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<図5>地方大学と地方自治体の連携イメージ

この施策の特徴は、それぞれ大学単独ではなく、地域の大学が全体のテーマとして取り組むことが求められている点でしょう。

さらに、県内就職率○%アップなど、具体的な数値目標をあげたうえで、効果検証も行うことになっています。

図4を見ていただければわかるように、東京圏(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県)を除くほとんどの自治体では人口流出に頭を抱えていると考えてもいいでしょう。

とは言いながらも、大阪府や愛知県などは、他県よりもアクセス、雇用力などの様々な面で優位性を持っています。

その一方で、多くの地方では、都会ではあたり前にある電車や地下鉄などの公共インフラでさえ十分整っていないという現状があります。

さらに、グローバリゼーションの流れのなかで、海外に拠点を移してしまった地方の優良企業も数多くあるでしょう。

そのため、今回の国の施策についても、効果を発揮する自治体と思うように進まない自治体に分かれると思います。

その点を問題視する声や、奨学金で若者を縛ることへの批判もあるようですが、まずは国が一歩踏み出したことを評価し、来年度からスタートする今回の施策の進展を見守っていきたいと思います。

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