ロードスターに触発されたコンパクト2シーターたち
90年代に、ユーノスロードスターの登場に触発されて生まれたコンパクト2シータースポーツカーたちの中で、現在もその命脈を保っているのは、ポルシェとBMW、そしてロータスの3ブランドからリリースされるモデルのみ、という状況である。なかでもポルシェのボクスターと、その派生クーペとなるケイマンは、手の届く当代一級のミッドシップスポーツカーという立場をずっと維持してきた。2シーターであること以外に実用性をスポイルする要素もなく、毎日乗れるスポーツカーという点でもモダンである。特にケイマンは、オープンエアを楽しめないぶん、充分な荷室をもつ。日常的にも1人乗りが主体で、スポーツ走行まで1台で楽しみたいという方には、うってつけのスポーツカーだろう。
リトラクタブルハードルーフを備え「コンパクトで走りの楽しいFRロードスター&クーペ」というコンセプトのBMW Z4。184psの2L直4ターボと306psの3L直6ターボを搭載、価格は513万~842万円
スパルタンなリアルスポーツ、ロータス エキシージ。350psの3.5L V8スーパーチャージドを搭載する。外観はもちろん、室内も走りに特化したスパルタンな仕様に。SとSロードスターをラインナップ、価格は955.8万~1022.76万円
前者は定評のあるアルミニウムモノコックボディ、後者は高価なプリプレグ成型CFRPモノコックボディを用いている。ボディこそ命、は、スポーツカーの本質と言ってよく、軽くて硬いボディがあってこそ、アシははじめて設計どおりに動くものだし、パワートレインに車体がダイレクトな反応をみせるというものだ。
エキシージと4C、評価は甲乙つけ難い。ミッドシップ・パッケージ的にはエキシージの方がやや優れているし、路面にくらいついて放さないステアリングフィールは別格で、今なお世界最速のコーナリングマシンの座にある。一方の4Cには、金属ボディのクルマとはまるで異なるダイレクトな車体の前後左右レスポンスがあって、運転好きを虜にしてしまう。サウンドやスタイルなど、官能的な演出もさすがにイタリアンである。
ベストチョイスには、5000万円級のモデルにしか採用されないカーボンモノコックボディを楽しめるアルファロメオ4Cを推しておく。