ボーナス(賞与)査定の仕組みは?金額はどのようにして決まる?
ボーナスの支給時期が近づいてきました。支給時期は企業によって異なりますが、夏のボーナスは早ければ6月中旬から支給され、7月上旬に支給のピークを迎えるようです。冬のボーナスは、11月下旬から12月中旬までに支給する会社が一般的です。待ち遠しいですね。
ボーナスと聞くと、その支給時期もさることながら、どうやって支給額が決まるのかという点にも関心が集まります。「今年は会社の業績が良いから、ボーナスは増えそうだ」「仕事をがんばったから、ボーナスは期待できそうだ」と話している人もいる一方、「欠勤が多かったから、ボーナスは貰えないだろう」「新入社員だし、ボーナスは無理かな」「育児休業中でも、貰えるのかしら」と心配している人もいます。そこでボーナスの仕組みについて、解説したいと思います。
<目次>
ボーナス(賞与)って何?法律上ではどういうもの?
ボーナスは江戸時代の商家で、主人から丁稚・手代などに支給された餅代が起源と言われています。正月を迎えるにあたって、奉公人に対し、主人のポケットマネーで支払われていたものが年末賞与(冬のボーナス)のはじまりなのです。一方、夏季賞与(夏のボーナス)は、お盆の時期に奉公人が実家に帰る(これを「薮入り」という)際に支給した小遣いや衣服(これを「お仕着せ」という)が起源です。夏に支給される小遣いやお仕着せは、冬の餅代に比べると小額でした。今も夏のボーナスは、冬のボーナスに比べて小額ですが、江戸時代のなごりなのかもしれませんね?!
ボーナスは、毎月の給料の何ヶ月分支給されるかという言い方をします。たとえば、夏冬合わせて年間4ヶ月分のボーナスが支給される会社では、夏は1.8ヶ月分、冬は2.1ヶ月分支給するのが平均的です。
ボーナスは、必ず支給しなければならないものでもありません。江戸時代の餅代、小遣い、お仕着せは、あくまでも主人の恩恵によって支給されたものです。今日のボーナスも、就業規則や労働契約等で「支給する」と記載されていれば、支給が義務付けられますが、中小企業では、そもそもボーナスという制度そのものが無いというところも多いのではないでしょうか?
なお、ボーナスの支給が会社に義務付けられていたとしても、支給金額までは明確に定めていないことが一般的です。利益が出ていないのに、ボーナスは、払えないですよね!ただし年俸制のように、あらかじめボーナスの額も含めて年俸額を定めている場合は、ボーナスは決められたとおりの額で支給されます。
ボーナス(賞与)の支給対象者は正社員のみ?もらえる条件、人とは?
ボーナスは基本的に正社員に限定して支給されます。どれほど勤続年数が長くとも、どれほどがんばって働いても、契約社員やパート・アルバイトには支給されないのが一般的。理不尽なようですが、ボーナスは会社が支給対象者を選ぶことができるのです。
江戸時代に起源を持つボーナスですが、明治時代になると餅代、小遣い、お仕着せから、「賞与」と名前が変わり、民間企業でも導入されるようになりました。「賞」とは功績・善行などをほめるという意味です。賞与はその名のとおり、会社に対する功績に対して支給される、利益配分的な性格を持つものです。その典型が「役員賞与」です。役員賞与は、会社の最終的な利益を、会社と株主と役員の3者で分配したものです。
ボーナスは利益配分的なものですので、利益をどれだけ上げたか、どれだけ業績を上げ会社に貢献したかが問われるのです。正社員は会社の業績に直接影響を与える基幹的な業務を担うことになるので、ボーナスは基本的に正社員に支給されます。正社員であれば、新入社員であっても、育児休業中の社員であってもボーナスの支給対象者です。
ボーナスの支給対象となる期間(ボーナスの査定期間)に働いていれば、支給日が仮に休職期間中であっても、ボーナスは支給されます。ただし、支給対象となる期間に在籍していても、あまりに欠勤が多いとボーナスの評価の対象にならない場合があります。この場合は、会社の人事部等にお尋ねください。
では退職してしまえばどうなるでしょうか?会社の就業規則に、「ボーナスは支給日に在籍している者にのみ支給する」という賞与支給の在籍要件が記載されていれば、残念ながら支給されることはありません。
ボーナス(賞与)査定で金額はどうやって決まる?
1人1人のボーナスの金額を決める前に、まず社員全員に支給されるボーナスの総額、つまりボーナスの原資を決めなければなりません。ボーナスの原資は、利益の見込み額です。最終的に多くの利益が見込めそうであれば、ボーナスの支給総額も膨らみます。また労働組合がある会社では、会社と組合との交渉によって、ボーナスの支給総額が決定されます。景気が良くなれば利益も上がり、ボーナスも増えるということです。個人別のボーナス額は、主に個人別の業績貢献度に応じて分配されるのが一般的です。給料(月給)、ボーナスともに、「業績評価」「能力評価」「行動評価(プロセス評価、情意評価で決まる部分)」の3つの要素で昇給額・支給額が決定されますが、ボーナスでは、特に「業績評価」のウエイトが大きくなります。
ボーナスは利益配分的な性格を持ち、会社に対する業績貢献度に応じて支給されるので、業績評価のウエイトが高くなるのは当然です。担当者(一般職)レベルであれば、一般的にボーナス支給額の半分程度が業績で決まります。課長クラスだと7割程度と高くなります。業績評価は、目標管理制度を導入している企業であれば、目標達成度によって評価されます。
ボーナス(賞与)査定には期間があり、上司との面談で決まる
またボーナスは、支給の対象となる査定(評価)期間が決まっています。通常は半年間ですが、上期・下期を通して評価するという会社もあります。ボーナスの査定(評価)結果については、上司は部下と面談し、部下の納得がいくように説明する必要があります。しかし部下の責任とはいえない環境変化によって業績が上げられず、低評価になった場合などで、トラブルが発生することがあります。ボーナスは高額なため、生活への影響も大きいです。上司の評価に不満な場合は、直属上司のさらに上の上司や人事部と相談するとよいでしょう。
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