ボサノバとは?ジャズとの違いと特徴
ジャズと他の音楽の違いシリーズ第一弾は、特に日本では根強い人気を誇る「ボサノバ」と「ジャズ」の違いを大きく3つ、誰にでも簡単にわかるようにご説明いたします。
簡単にわかる! ボサノバとジャズの大きな3つの違い
- 生まれた国が違う ブラジルとアメリカ
- リズムが違う 8ビートと4ビート
- メインが違う ヴォーカル主体と器楽主体
1、生まれた国が違う ブラジルとアメリカ
これは、もう決定的な違いです。ボサノバは南米ブラジルで生まれ、ジャズはアメリカ生まれ。しかも、ボサノバは1950年代後半と比較的新しい音楽ですが、ジャズは1900年頃から。100年以上の歴史があります。この違いは大きい。
2、リズムが違う 8ビートと4ビート
8ビートとは、1小節を8つに区切り、4ビートは4つに区切ります。大きく分けるとボサノバは基本8ビート、ジャズは多くが4ビートです。
もともとは2ビートのサンバから生まれたのがボサノバ。サンバは踊りの音楽ですので、リズムを強調しています。リオや浅草のカーニバルで流れているのがサンバ。ボサノバは、そこから派生したのにむしろリズムを強調しない静かな8ビートです。基本のリズムはギターで刻み、必ずしもドラムやパーカッションを必要としません。そこが「ボサノバ=新しい流れ」と呼ばれた所以です。
ダンス音楽として発展したジャズは、リズムを強調、そしてその多くが4ビートです。それは、現在でも変わりません。
3、メインが違う ヴォーカル主体と器楽曲主体
ボサノバは出自がはっきりしています。1950年代後半に、作曲家の「アントニオ・カルロス・ジョビン」が曲を作り、作詞家の「ヴィニシウス・ジ・モラエス」が詞をつけ、ヴォーカル&ギターの「ジョアン・ジルベルト」によって歌われたものがいわば「ボサノバ」です。
つまりは、ブラジルに生まれた、ポップス、歌謡曲と呼べるもの。名曲、名演と呼ばれるものは、ほとんどがこの三人が絡んでいるというわかりやすさです。
ジャズは、もともとはお葬式の伴奏や、歓楽街のBGMとして始まり、1930年代からはダンス音楽として広がりました。もちろんヴォーカルもありますが、多くは器楽曲主体です。ここが大きく違います。
「ボサノバ」は歌、ジャズは演奏と覚えればOKです!
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Bossa Nova: The Cool Sound From Brazil
Bossa Nova: The Cool Sound From Brazil 10枚組
ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビン、ルイス・ボンファ、シルヴィア・テリス、カルロス・リラ、マイーサなど、これぞボサノバを代表する面々。
今回10枚を通して聴いてみましたが、やはり群を抜いて素晴らしいのはジョアン・ジルベルトだということ。ジョアン・ジルベルトの、ファーストとセカンドアルバムが収録され、まさにこれぞボサノバ。時代を超越した、代表的でさわやかな歌を聴くことができます。それに比べると、他のボサノバ・ヴォーカルがやや古く、泥臭く聴こえてきます。
そして、いまさらながらに作曲者としてのアントニオ・カルロス・ジョビンの偉大さが伝わる内容。そのほかでは、ギターの「黒いオルフェ」で有名なルイス・ボンファもさすがに雰囲気があります。
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ゲッツ・ジルベルト・アゲイン
ゲッツ・ジルベルト・アゲイン 「三月の水」
後期のジョビンの代表曲を、いつものように雰囲気たっぷりに飄々と歌うジルベルト。対照的に、珍しくぶっきらぼうに吹きすさぶスタン・ゲッツが印象的です。ジャケットの笑顔とは裏腹に、このアルバムを通して、終始機嫌が悪いかのようなゲッツの演奏に、ゲッツのホンネが現れているのかもしれません。
ゲッツには、ボサノバで当てたのに、ボサノバのリクエストを嫌ったという話が残っています。ゲッツ・ジルベルトから10年たって、実現したこのビッグスターとの再共演を、実はあまり歓迎していなかったのかも。
もしかしたら、もう一度当たれば……などという打算的な面と、いやなものはいやという子供のような部分。色々とその性格について証言のあるゲッツならばあり得る話ですね。
それでも、残された演奏は素晴らしいものになっているのが、さすがに両方のジャンルを代表する二人と言えます。
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ナチュラル・エッセンス
ナチュラル・エッセンス タイロン・ワシントン
1962年のジャズサンバによってジャズ界に紹介されたボサノバ。5年たって、さすがにジャズ界を疾風のように駆け抜けたボサブームは去っています。それだけに、ボサのリズムが、すっかりリズムの1パターンとして根付いた感のある、ジャズそのものと言ってよい演奏です。
リーダーのテナーサックスのタイロン・ワシントンは、この作品がほとんど唯一と言ってよい作品です。それでも、コルトレーン、新主流派、フリー、ボサノバなど色々なエッセンスが凝縮し、この当時のジャズが抱えていた時代観が伝わる、熱い演奏には間違いがありません。
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