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同性婚は、なぜ必要?人知れずいなくなっていくLGBT

先日、ルクセンブルクのベッテル首相が男性と同性婚をしましたね。ところで、なぜ同性婚は必要なのでしょうか?なぜ、ヨーロッパや米国など各国で同性婚を認める流れが起きているのでしょうか? 同性婚制度がないということは、相続等の法的保障を受けられないだけではなく、社会的に認められていないということなのです。そして、そのことが自殺の原因になってしまっているという事実があります。

執筆者:林 康紀

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人知れずいなくなっていくセクシュアルマイノリティたち

自殺

人知れずいなくなっていく人たち

個人的な話になってしまいますが、私は、日本が同性婚を認める国になってくれることを心から願っています。ただし、それは私が同性婚をしたいからではなく、社会に認められていないことで苦しんでいる人たちにとって少しでも暮らしやすい社会になって欲しいという願いからです。

しかし、今の日本でも、LGBTであっても楽しく暮らせるのではないのでしょうか?なぜ、認めてもらう必要があるのでしょうか? 

私には、自殺してしまったゲイの友人がいます。大学時代に知り合ったその友人は、私が大学卒業して間もなく、自殺したということを他の友人から聞きました。いつも明るくて、ユーモアを大切にする、頭が良くて素敵な人でした。

彼が亡くなったとき、彼の行きつけだったゲイバーに行き、バーのママと彼のことについて話していました。そこでバーのママの言った一言が、私は今でも忘れられません。

ママは、「残念ね…。みんな、死んでいくね」と言ったのです。

ママは、いろんなゲイの人が自ら命を絶ち、亡くなくなっていくのをそれまでも何度も見てきたのです。

悲しすぎる悲劇「さよなら。迷惑かけてすみません」

2009年1月に、とても悲しい事件が起きました。
「性同一性障害:解雇、自殺の家族 遺族年金求め国提訴へ」と題し、毎日新聞に掲載された記事の一部を以下に引用します。

山口県岩国市の中古車販売会社に勤務していた20代の女性社員が2009年に自殺したのは、性同一性障害(GID)を理由に退職を強要されたストレスなどが原因として、遺族側が国を相手取り、遺族補償年金を不支給とした岩国労働基準監督署の処分取り消しを求める訴訟を週明けに広島地裁に起こす。

 

訴状などによると、女性は07年4月、同社にパート従業員として雇用された後、08年8月、正社員として採用。その後、自分がGID(性同一性障がい)である事実を職場で隠すことに苦痛を感じるようになり、同年11月上旬、同僚らにリストカットの経験なども含め告白した。

これに対し、会社側は同月下旬、GIDには触れず、『リストカットの事実を伝え恐怖心をあおり、職場の風紀を乱した』などの理由で解雇した。女性は解雇されるまで退職を強要され、解雇通知を受けた頃にうつ病を発症。

09年1月、『皆さん、ありがとうございました。そしてさよなら。迷惑かけてすみません』という遺書を残して自宅で自殺した。


私はこれを読んだ時に、心の底から悲しい気持ちになりました。「迷惑かけてすみません」という言葉を残して、この世を去っていった人の気持ちを想像できますでしょうか?自分の人生の主役は自分であるということを実感できず、「自分はみんなにとって邪魔な存在なんだ」と感じ、この世を去っていったのです。

同性婚は、なぜ必要なのか

ある調査結果では、日本におけるゲイの人の自殺率はストレートの約6倍とも言われています。

日本は今、先進国の中でも死因のトップに自殺があげられる自殺大国と言われていますが、ゲイはその中でもストレートの約6倍の自殺率を誇っているのです。

私たちLGBTにとって、同性婚から享受できる法的な保障ももちろん必要なのですが、何よりも「社会にしっかり存在を認められる」こと、そしてLGBTで生まれてきても自由に、幸せに生きられる社会こそが必要なのです。その途中過程で、同性婚という法律の制定というゴールがあるから、同性婚が必要なのだと、私は考えます。

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