上海市街から1時間。悠久の歴史に古今東西が溶け込んだユニークな水郷
たおやかな情緒が漂う水辺の景色は江南地方ならでは。朱家角は入村料をとらないので、気軽に訪れることができます。
中国・江南地方には河川や湖沼が多く、古くから水路の要所として栄えた町がいくつも残っています。上海市の中心から西へ約48キロメートルの距離にある朱家角はその一つ。4世紀の三国時代に始まり、明代の万暦年間(1573~1619年)に栄えた水の都です。
舟からのんびり眺める水郷の景色もいいものです。
ゴンドラならぬ木の平底船が水路を行きかう風景は「上海のヴェネツィア」と称されることもありますが、コンパクトだけど奥が深くて、いつ行っても不思議な面白さがあり、古今東西なんでもありな感じは…イタリアというよりチャイナタウン! 都会っ子の上海人にとってもディープな魅力があるのです。
日が暮れる頃も活気があります。上海市街への最終バスは21時。
タクシーの料金は上海の中心地からだと200元ほどが目安です。安く行くなら普安路のターミナルから出る高速バスで。片道12元です。ただし、終点で下車してから古鎮の入口まで10分ほど歩くことと、混んでいるときは定員オーバーすることもあるので時間に余裕をもって行動してください。
週末や祝日は道が歩きにくくなるほど人でいっぱいになることも。静かに楽しみたいなら平日がおすすめです。
古民家カフェや占いもある歴史地区をメインに、モダンエリアもチェック
朱角家に着いたら古鎮の入口を目指します。運河の間に張り巡らされた水路が縦横に走る、面積約1.5平方キロメートルの歴史的エリアです。放生橋は上海地区最大の石橋。かつて僧侶がこの橋から生きた魚を放して善行を積んだといわれています。
橋を起点に北大街や、橋を渡って西井街などを歩きます。瓦ぶきの屋根に白い土塀の家屋がぎっしりと並び、1階の多くはお土産屋さんや飲食店になっています。もうもうと湯気を立てる豚の角煮やちまき、骨付き豚肉、煎り青豆(大豆の一種)、細切り大根の揚げ餅、塩釜うずら卵など、面白い食べ物もいっぱい。
ちまきや角煮は一つ2元前後で売られています。
古鎮にはほかにも漬物店や甕に入った中国酒の専門店、工芸品の店、占い師がいる店やお化け屋敷(!)まであり、とにかく賑やかです。
清代に造られた個人庭園の和心園もおすすめ。参観料は20元。昔の富裕層の暮らしぶりがわかります。
遊覧船は放生橋と課植園、城隍廟に乗り場があります。舟は6人乗り。ショートコースだと一艘65元です。運河で洗濯をしたり、外で日光浴をしたりする住人の暮らしの光景を見られることもあります。
尚都里エリア。建物のデザインは朱家角の伝統様式にならっているそうです。
尚都里にあるのは中国スイーツの店やチョコレートショップ、アートサロン、陶器店、デザイングッズショップ、それにスターバックスコーヒーなど。現在も開発が続いており、2015年夏には伝統劇を上演する劇場がオープンする予定。年末までにホテルを含めエリアの8割ほどが完成するそうです。
静かにお茶を楽しめるモダンな茶館もあります。
次ページでは朱家角ならではのお土産と食べ物を紹介します。