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柳家花緑の落語バレエ『おさよ』(5ページ目)

世界初・落語とバレエのコラボレーションに挑む東京シティ・バレエ団の『おさよ』。柳家花緑さんが手掛けた落語版ジゼル『おさよ』をもとに、バレエと落語を融合しかつてないステージを創造します。ここでは、5月の上演を前に開催された試演会に潜入! 花緑さんと東京シティ・バレエ団芸術監督であり理事長の安達悦子さんにお話をお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


ジゼルを想いながら生きて行こうと決意するか、命を絶たれるのか、アルブレヒトの最後は解釈が分かれるところです。『おさよ』はどういう解釈で描かれる予定ですか?

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安達>バレエの場合、基本的に解釈は演出家次第です。もちろんダンサーが自分でつくっていく部分も多いけど、演出サイドがこのバージョンはこういう終わりにしますと言ったら、そこに自分の気持を乗せていくことになる。ただ今回は、花緑さんの『おさよ』に合わせた解釈にしています。舞台にはバレエのヒラリオンは出て来ませんが、これも一番解釈が分かれるところ。落語の『おさよ』では、ちゃんと生き残るんですよね。

花緑>僕は彼を殺しませんでした。落語の『おさよ』ではヒラリオンを半ちゃんという名前にしていますが、彼にはとても死んで欲しくない、あの
Photo by Takashi Shikama

 

まま村に帰って欲しかったので。同じ男として、何も彼は死ななくてもいいのではないかと思うんですよね。落語の『おさよ』では、“あの男の本性を暴こう!”と勇んで家に行くと脱ぎ捨てた袴と刀があって、証拠を見付けたといっておさよに見せる。でもその結果おさよが死んでしまって、刀を見せなければよかったと後悔する。ちょっとトホホな感じの男で、加害者でもあり被害者にもなっています。

安達>やっぱり封建時代のお殿様と自分たちは身分が全然違うんだという葛藤はあるでしょうし、妹のように考えているジゼルに対する気持ちとか、いろいろ交錯する想いがあってああいう行動に出てしまうんでしょうね。実はヒラリオンも半ちゃんみたいなひとなんです。最初は悪の方でつくられたこともあったらしいのですが、現在、特に東京シティ・バレエ
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団のバージョンでは、ヒラリオンは人のいい、面倒見のいいお兄ちゃんという男性像になっています。

落語版『おさよ』のライナーノーツに十市さんが“半ちゃんを殺さなかったんだね”と問いかけているのを読みましたが、そこにはきっと花緑さんの想いがあったんだろうなと感じます。だからバレエを知ってるひとが『おさよ』を聴くと、また違った意味で深く解釈できるのではないでしょうか。

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