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柳家花緑の落語バレエ『おさよ』

世界初・落語とバレエのコラボレーションに挑む東京シティ・バレエ団の『おさよ』。柳家花緑さんが手掛けた落語版ジゼル『おさよ』をもとに、バレエと落語を融合しかつてないステージを創造します。ここでは、5月の上演を前に開催された試演会に潜入! 花緑さんと東京シティ・バレエ団芸術監督であり理事長の安達悦子さんにお話をお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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花緑さんが2001年に創作した落語版ジゼル『おさよ』をベースに、落語とバレエのコラボレーションで描く本作。落語版『おさよ』は『ジゼル』をどの程度踏襲しているのでしょう?

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花緑>ストーリーは全て『ジゼル』を追っています。もともとバレエにはセリフというものがないけれど、登場人物がいて、ストーリーはちゃんとある。『ジゼル』のストーリーを改めて見直したとき、あぁこれは落語の人情噺だなと思って。だから落語にするときも、非常につくりやすかったですね。『ジゼル』のストーリーはそのままに自分なりにセリフをあてこみ、あとは悲劇をどこまで喜劇にできるかという感じで、ちょっとシリアスなシーンとおふざけのシーンをストーリーの中に入れ込んでいきました。ただ感情表現はちゃんとお伝えしたかったので、江戸時代の設定ではありますが、現代語で話すようにしています。

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今回のコラボのために特にアレンジはしていません。少してにをはを僕自身が喋りやすいように変えたくらいです。14年前に自分の勝手な解釈でつくったものなので、バレエファンに怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしています。まさかこうしてコラボレートする日が来るとは思ってなかったものですから、本当にいいのかしら、『おさよ』を経て7月の本公演で上演する『ジゼル』を観たらどうなるんだろうと……。

安達>私自身落語はテレビで見たことがある程度で、今回この企画をやるにあたり初めて高座を見に行きました。そのとき感じたのが、バレエと本当に正反対なんだなということ。言葉だけで全てを表現していて、そ
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こに芸術がある。話芸ですよね。逆にバレエは全く言葉を使わずに、音楽があり、美術があり、そこにドラマがあり、踊りという総合芸術になっている。究極に正反対の形でつくられているんだなというのを強く思いました。たぶんそれを一番わかっているのは花緑さんではないでしょうか。子供の頃からバレエと落語が身近にあった方ですから。

花緑さんは『ジゼル』をベースに落語の『おさよ』をつくられた訳ですけど、『ジゼル』という作品自体が身分違いの恋という普遍的なテーマを持っていて、これは洋の東西を問わずどの世界にも通じるものがある。バレエのなかでも特に『ジゼル』や『白鳥の湖』といった全世界で親しまれ
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ている作品は、それだけのキャパシティがあると思うんです。日本人だったら日本人の感情を込めた『ジゼル』になるし、型はあっても表現の仕方に余地がある。

私自身初めて落語の『おさよ』を聴いたとき、日本人としてウィリが幽霊だというのはすごくわかったし、非常に入っていきやすいなと思いました。落語の中ではミルタは大親分で、ウィリたちは子分、一番新米はジゼル。日本的な解釈でお話しされていて、それがすごくわかりやすく描かれているんですよね。

花緑>最初に『おさよ』をつくったとき、いろいろなひとに“バレエが落語になるということは、盆踊りになるということですか?”とよく聞かれ
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ました。つまり、和の物語になるのかということです。でも僕は、バレエを観ていて踊りはコミュニケーションなんだと思った。バレエは踊りで会話をしているんだと。落語でいうコミュニケーションは喋ることだから、幽霊のシーンは喋り倒すと死んでしまうという設定にしています。踊りを言葉に変えるのが面白いところであって、だから決して落語の中で踊ろうとは思わなかったですね。

安達>バレエの場合は踊りすぎて死んでしまうという設定ですよね。でも根底にあるものは同じだから、とても自然な流れになっているような気がします。

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