絵本/海外の絵本・外国人作家の絵本

生誕70年トーベ・ヤンソンのたった4冊のムーミン絵本(3ページ目)

2015年はムーミン出版から70年という節目の年です。とても有名なムーミンですが、実は作者トーベ・ヤンソンが書き下ろしたムーミン絵本はわずか4冊だけだというから驚きです。今回はそのオリジナル絵本4冊をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

トーベ・ヤンソンのマルチな才能を証明するコミックスと絵本

1954年にイギリスの夕刊紙「イブニングニュース」で漫画ムーミンの連載が始まると、これが大ヒットし、ムーミンは世界40か国以上で人気者になりました。ですから、トーベ・ヤンソンについて語る時、このコミックスの存在に触れないわけにはいきません。一方で1960年代には、トーベ・ヤンソンはムーミン屋敷の制作に夢中になっていたといわれています。どちらも、トーベ・ヤンソンが様々な才能の持ち主であったことを証明する作品です。

ムーミンハウスの制作に夢中になったトーベ・ヤンソン

『ムーミンやしきはひみつのにおい』の表紙画像

ムーミン屋敷で何かが起こる?! 精巧なドールハウスを写した写真絵本

『ムーミンやしきはひみつのにおい』は、トーベ・ヤンソンと彼女の友人であるトゥーリッキが中心となって作ったムーミンのドールハウスを、弟のペル・ウーロフ・ヤンソンが撮影し、それにトーベ・ヤンソンが文章を付けた写真絵本です。初出は1980年でした。精巧に作られたムーミンハウスで起こる出来事が写真で表現されることで、イラストとは違った面白さやドキドキ感を味わうことができます。
ある夏の日、玄関にひとりの紳士が高さ2メートルくらいのムーミン屋敷を抱えて立っている。「これは、私が造りました。受け取っていただけたら、嬉しいのですが……」 (カバー見返しより)
この紳士こそ、ドクター・ペンッティ。後にムーミンハウス制作の重要なメンバーになった人物です。そんな、突然の出会いから、トーベ・ヤンソンがのめり込んだというムーミンハウスの制作。出会いとは、本当に不思議なものですね。

お話の世界そのままのドールハウスの写真に合わせて出来上がったストーリーは、ちょっとしたミステリー仕立ての物語。お馴染みのムーミンの仲間たちがサロンに集結した時、思いがけない出来事が起こります……。

【書籍DATA】
トーベ・ヤンソン:文 ペル・ウーロフ・ヤンソン:写真  渡部翠:訳
価格:1944円
出版社:講談社
推奨年齢:小学生くらいから
購入はこちらから 

えっ、ムーミンは孤児だった?ムーミン・コミックスの始まり

「ムーミン・コミックス全14巻」の画像

ムーミンのイメージを覆す(?)風刺色の濃い大人向けのコミックです

最後に、絵本ではありませんが、ムーミンの漫画について触れておきます。というのも、この漫画が、ムーミンの人気を不動のものにしたからです。驚いたことに、新聞の連載は「ムーミンは孤児だった」という設定で始まったそうです。でも、振り返ってみると、この設定は衝撃というほどでもありません。なぜなら、ムーミン・シリーズ第3作『ムーミンパパの思い出』によれば、ムーミンパパもまた紙袋に入れられていた捨て子だったというのですから!

イギリスの夕刊紙に連載されたムーミンの漫画は、全部で73作ありました。児童文学であったムーミン・シリーズや絵本作品と違い、漫画の読者は大人であったため、登場人物のキャラクターなどもそれまでとは微妙に変化していたり、小説や絵本には登場しないキャラクターが登場したりしたばかりでなく、その内容も新聞掲載らしく風刺が効いたものが多かったようです。

※「ムーミン・コミックス全14巻」には、コミックス全73作品の中から42作品が収載されています。

【書籍DATA】
トーベ・ヤンソン/ラルス・ヤンソン:作 冨原眞弓:訳 
価格:1万8144円
出版社:筑摩書房
推奨年齢:大人向け
購入はこちらから 


2014年にトーベ・ヤンソン生誕100周年を迎え、2015年はムーミン出版70周年の年に当たります。そのため世界中でムーミン人気が再燃しています。テレビアニメでムーミンに出会った方も、これを機に原作に触れてみてはいかがでしょうか?きっと思いもかけないムーミンの魅力に出会えるはずです。

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