これからは東京→ローカルアイドルに?
そうした昨今のアイドル界の状況について、最近は執筆活動でも広く注目を浴びている地下アイドルの姫乃たまさんに聞いてみました。「わたしが話せるのはアイドル界の“深海”のところだけですけど、グループからグループに移り渡る人ってのはいますよね。わたしソロでやってて思うんですけど、“ユニット推し”のお客さんってソロのところには絶対来ないんですよ。だからグループを抜けて、ソロになっちゃうとついて来ない」
――お客さんのそういう事情もあるんですね。
「あとグループを渡り歩く子に『自分のお客さんもついてるんだからソロでやればいいのに』って言ったことあるんですけど、その子は『箱推しのお客さんを自分の推しにしたいから、少しでも箱推しがいるところに入りたい』って言ってて」
――それなりに自信がないとソロにはなれない、というのもあるんでしょうね。
「でもグループに入るなら協調性がないと無理ですよね。わたしはグループでやれる自信がないです。初日の顔合わせに行ける自信がない(笑)」
――ソロにもグループにもいろんな事情があるんですね……。
「でも私はこれからはローカルアイドルが強いと思ってて。アイドルはもう今首都圏にいっぱいいるじゃないですか? でもローカルだと県がバックアップしてたりとか、手堅く長期で活動するならローカルの方が強いんじゃないかって。他の子と話してても、そういう話によくなるんですね」
――アイドル同士が楽屋でそんな話を(笑)。
「たとえば最近栃木県にアイドルグループができたんですけど、メンバーが栃木県出身でない子もいるんですよ。聞いてみたら、『他県から集めた女の子に栃木で活動させて、他県に栃木の魅力を持って帰ってもらいたい』という話らしくて」
――まあ極端な話、「地元振興」が目的ならばその地元が好きでアピールしてくれれば他県でもいいわけですもんね。
「だから大学で上京してアイドルやって、それで地元帰ってそのノウハウを活かしてローカルアイドルをやる、とかいいんじゃないでしょうか? 『東京でアイドルやってた』って言ったら自治体もバックアップしやすいでしょうし。逆輸入というか、Uターンアイドル。いいですよね、でもわたし東京なんでそういうのが出来ないんですよ……」
ちなみにこの取材は3月25日だったんですが、その翌日に行われたAKB48のライブで新潟に出来る48グループ・NGT48に北原里英がキャプテンとして移籍することが発表。奇しくもこの話題と重なった感あります。
アイドルというとフレッシュさが売りなイメージがありますが、ベテランならではのスキルを持つアイドルもあっていい。今後アイドルというエンターテイメントの幅は更に広がっていきそうです。