IPが差別化の決定的な要因になるのは、それ以外の価値に差が無い時である
今なら妖怪ウォッチのキャラクターグッズもたくさんありますね。それこそソーセージも。
明確な味付けや品質で差別化できる商品は、その部分をプッシュすることの優先順位が高くなるため、他からもってきたIPをつける必要性は下がります。本格ソーセージにキャラクターのコラボは蛇足です。むしろ、ソーセージならどれでもいいんだけど…というぐらいの時こそ、キャラクターソーセージはいきてきます。どれでもいいけど、せっかくなら子どもが喜ぶだろうし、ということで買われるのです。
もっと言えば、ソーセージという食材自体、とても無難で、キャラクター商品にするのにとても適しています。すごく極端な話、「仮面ライダーくさや」があったとして、くさや好きの仮面ライダーファンは大喜びするかもしれませんが、それはとてもニッチになってしまって仮面ライダーの人気を活かしきることができません。
広く知られたIPを明確な差別化要因とするには、他の要素はできるだけ無難である方が効きます。逆に言えば、中身にほとんど差が無いような商品で、IPというのは決定打になることがある、ということです。
差別化しようとしつつ、似てきてしまうモバイル端末向けゲーム
パズドラ的な収集と育成、ガチャの仕組みを持ったゲームは、とてもたくさんあります
ソーシャルゲームで定番化し、パズル&ドラゴンズで確立されたカードバトルタイプの収集と育成、そしてガチャに代表される課金の仕組み、ここまでが非常に似通っていて、その上にパズルだったり、クイズだったり、RPG風コマンドバトルだったりが乗っかっています。
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現状の流れは、課金部分の仕組みは成功例を踏襲しつつマイナーチェンジで収めて、その上に何を乗っけるのか、というところで差別化を図ろうとするタイトルが多くなっています。しかし、課金部分、キャラクターの育成、強化というところが同じだと、どうしてもゲームの戦略的な部分は似てきてしまい、同じゲームの中に収録されている違うミニゲーム、というぐらいの差に収まってしまいがちです。
こういう、差別化要因に乏しい状況では、IPというのは確かに効くわけです。現状のモバイル端末向けゲームにおいて、有名IPはかなり強い飛び道具として機能するでしょう。実際、バンダイナムコゲームスによるゲームやアニメのIPを駆使したタイトルや、スクウェア・エニックスがたくさんリリースしているファイナルファンタジーを冠したタイトルは、IPによる差別化にかなり成功しています。
しかしこのようなモバイル端末向けゲーム市場全体を俯瞰してみると、多数の商品が投入されながら、それらの差別化要因に乏しい状況というのは、必ずしもいいこととは言えません。