コルムの歌からは“ミュージカルとは
どういうものか”を学んだ
――今回、日本で共演する運びとなったコルム・ウィルキンソンさんは、あなたにとってどんな存在ですか?『レ・ミゼラブル』ジャン・バルジャン役のコルムさん
彼とは1,2度会っているけど、実は仕事をご一緒したことは無いんだ。僕がトロントで『レ・ミゼラブル』に出演したとき観に来て気に入り、今回声をかけてくれたそうで、彼と共演できることがいまだに信じられない。『レ・ミゼラブル』から何曲か歌うことになると思うし、その中にはジャベールとバルジャンの『対決』も含まれるのではないかな。まだ決定事項は何もないけれど……。
来日自体、今回が初めてなのでとても楽しみだ。テレビではいろいろ見ているけれど、どんなところなのかな、とね。行ったことのある友人たちは“東京も大阪もいいところだよ”と口をそろえているので、早く自分の目で見たいな」
――今後演じてみたい演目、やってみたいことはありますか?
「今、ロンドンでロングラン中の『マチルダ』(ロアルド・ダールの児童文学の舞台化)に出たいね。女校長先生役、やりたいなあ(笑)、僕にとって大きな挑戦になるよね。
『マチルダ』は新作だけれど、最近ウェストエンドであまり新作がかからないのはちょっと残念だね。ブロードウェイのほうが、もっとリスクを避けずに新作に挑戦する傾向がある。ウェストエンドの僕らももっと新作ミュージカルをやっていくべきだと感じているよ」
鏡台前のアールさん。主役とあって、アールさんの鏡台は2台。広々とした居間も隣接している。(C) Marino Matsushima
インタビューが行われたのは『オペラ座の怪人』の本番前。開演一時間半前に楽屋を訪ねると、アールはまだ素顔に普段着のままでした。怪人メークに取り掛からなくていいのかとこちらのほうがハラハラしていると、彼は「もう慣れたから、最近は開演45分前にこしらえを始めるんだ」と涼しい顔。撮影時、こちらがドレッサー上を「せっかくなので何かファントム・グッズも一緒に……」と見回すと、「残念だけど、(舞台以外で見せるのは)禁じられているんだ」と苦笑いを見せました。
その後の舞台では先ほどの明快な役柄分析にのっとり、的確かつダイナミックにファントムを表現していたアール。さすが英国人俳優としてはエリートの俳優養成コースを通らずに地方で経験を積み重ね、世界一のジャベールと呼ばれるまでになった人物らしく、直前までの気さくな素顔とのギャップは鮮やかなものでした。その彼が4月下旬、日本で何を歌うのか。コルムとがっぷり四つの“対決”は見られるのか?! 楽しみでならないコンサートです。
コルム・ウィルキンソン日本スペシャルコンサート