「初めてのミュージカル」は不安がいっぱい!?

帝国劇場の1階観覧席。写真提供:東宝演劇部

日本を代表する劇場の一つ、帝国劇場の1階観覧席。写真提供:東宝演劇部

「映画が良かったから、舞台版の『レミゼ』も観てみようかな」「ちょっとスペシャル感のあるデートをしたい」「ふさぎ込んでいる親友を、元気の出る演目で励ましたい」等々、ミュージカル初体験の動機はさまざまです。

「でも、服装マナーは?」 「チケットの取り方は?」 「持っていくものはある?」などなど、初めてのことに不安はつきもの。大丈夫、この記事を一読すれば、すぐに「通」になれます。生活の中に「ミュージカル」がある幸せを、ぜひ今日から分かち合いましょう!
   

どう選ぶ? 舞台公演の探し方

まずは、近々上演される作品の情報を収集し、その中に気になる作品があるかどうかをチェックしましょう。

膨大な数の舞台公演の中から、ミュージカルだけを抽出したリストとしては、本サイトの「〇〇年〇~〇月の注目!ミュージカル」をご活用ください。直近2か月間の上演作品から、ガイド・松島自身が「面白そう!観たい!」と思える舞台を8~10本ピックアップし、それぞれに「見どころ」と「観劇ミニ・レポート」(随時追記)を掲載。
「ストーリーが面白そう」でも「写真に好みのイケメンが写っている」でも、きっかけは何でもOKです。気になる作品があれば、作品タイトルをクリックし、作品公式HPで詳細を見てみましょう。

また、本サイトでは「Star Talk」「気になる新星」など、様々なインタビューコーナーで、話題の新作の出演者にインタビューを行っています。どれも役者さんご自身について作品について、たっぷり掘り下げて語っていただいており、興味が俄然、深まります! こちらもぜひ、参考にしてみてください。

作品によっては、本サイトでとりあげるずっと以前、場合によっては公演の半年以上前からチケット発売を開始しているものもあります。そういう作品の情報もいち早く得ておきたい!という場合は、主要劇場・主催者のメンバーズクラブに登録しておけば、随時メールマガジンが送られてきます。先行予約ができる場合もあるので、見逃せません。(登録の際、名前やメールアドレス等の情報の他に、クレジットカード番号も必要なものもありますので、それぞれの「利用上の注意」をご覧になり、納得の上でご登録ください)。例えば、以下のものがあります。

【登録無料】
東宝ナビザーブ劇団四季idセンターホリプロオンラインチケットMy Bunkamura

【登録有料】
四季の会(劇団四季のファンクラブ。先行予約、一部席種が割引、月刊会報誌送付、イベント招待等)、梅田芸術劇場ネット会員サービス(先行予約、イベント招待等)
 

ガイドのおすすめエリアも紹介! 迷わないチケットの購入方法

1983年『キャッツ』初演の会場となった西新宿のキャッツシアター。日本のオンラインチケットシステムは、この作品とともに始まりました。撮影:山之上雅信

1983年『キャッツ』初演の会場となった西新宿のキャッツシアター。日本のオンラインチケットシステムは、この作品とともに始まりました。撮影:山之上雅信

観たい作品が決まったら、次は購入です。前述したメンバーズクラブでは、会員先行予約を行っているものがほとんど。そのままオンライン購入が出来て便利至極ですが、オンライン上でのクレジットカードナンバー等の個人情報入力には、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。電話予約、劇場窓口での購入方法も各公演HPには記載されていますので、ご利用下さい。

もちろん、「チケットぴあ」「イープラス」など、一般的なチケットエージェンシーでももちろん購入可能です。「チケットぴあ」はオンライン、電話、店頭販売というオプションがありますが、「イープラス」はオンラインのみの扱いとなります。

ミュージカル公演の席種は、小規模公演の場合は全席同料金ということもありますが、多くの場合は値段ごとに2~4のランクに分かれています。「一度しか観ないのだから最高の席を」「何度も観たいのでエコノミー席を」など、予算やスタンスによってお好きな席種をお選びください。

では、同じランク(席種)の中で自分で座席を選べる場合は、どこを選べばいいでしょうか?
演劇業界では一般的に「とちり席」(1階7~9列目)のセンター辺りが、キャストの表情も全体像もよく見えてベストと言われています。恋人やご両親を招待したい、というような場合にはまず、このエリアがお勧めです。
「いやいや私は出演者目当て!」 「登場人物の心情にどっぷり浸かりたい!」という場合は、1階最前列の「かぶりつき」をどうぞ。演目によってはキャストに劇中で「いじられる」可能性も高いエリアです。
あるいは、ダンスの構図や装置の全体像を楽しみたい場合、同じ演目を二度目に観るような時には、階席を選んでみてください。ダンスがいかに立体的に振り付けられていたかが分かり、感動が増幅することでしょう。

※以下、ガイドの独断と偏見による、作品別お勧めエリアです
『レ・ミゼラブル』『ジーザス・クライスト=スーパースター』『オペラ座の怪人』→とちり席
『ライオンキング』『キャッツ』→1階通路脇
『ロミオ&ジュリエット』『ノートルダム・ド・パリ』『兄弟は勇敢だった?!』→かぶりつき
『ウィキッド』『クレイジー・フォー・ユー』『エニシング・ゴーズ』→2階席

もしも、観たい日時の公演が売り切れの場合は? 公演によっては、直前になって一部の席が一般販売用に開放されたり、前売りが売り切れても必ず当日券を出すものもあります。劇場に電話で問い合わせたり、公演HPの最新情報欄でチェックしてみてください。早朝から劇場窓口に当日券狙いの列が出来たりすることもありますが、苦労して観ることができた作品は一層思い出深くなるもの。一度はこういう体験もいいものですよ! また、劇団四季公演であれば、キャンセル・チケットが出るとメールでお知らせが来る「メールコンシェルジュ(劇団四季idセンター)」を利用するのも一つの手。登録すれば、「年内はもう完売しているから無理かな」と思われるような公演でも、ひょいと観られる可能性がありますので、ぜひチェックを。
 

劇場へ行く前に確認! これさえあれば安心!な持ち物

控えめながら優美な装飾に彩られた劇団四季の自由劇場。客席数約500と小ぶりながらミュージカル公演も多い。撮影:上原タカシ

控えめながら優美な装飾に彩られた、劇団四季の自由劇場。客席数約500と小ぶりながら、ミュージカルが上演されることも多々あります。撮影:上原タカシ

まずはチケット。これがないと入場できません。(ガイドは購入するとお財布に入れ、観劇当日まで持ち歩いています)。しかし、万一家に忘れても、座席番号が分かれば入れることもありますので、購入したら携帯電話やスマホのメモ欄に座席番号を入れておくなどすると万全です。

1階後方やサイド、あるいは2階席の場合は、オペラグラスもあると便利。遠くからでも、好きなスターの表情を追いかけたり、気になったアンサンブル俳優の顔を覚えて、後ほどプログラムで名前を確認したりするのに役立ちます。(有料で貸し出しを行っている劇場もあります)

予期せぬ「とまらない咳」に備えて、水やお茶入りのペットボトルも持っていると安心です。少し喉を湿らせれば、たいていの咳はおさまります。キャンディでもいいのですが、包み紙がひねってある形状のものは、開く音が意外に場内に響いてしまうので避けたいところ。(音がしないようにとゆっくり開き、却って周囲の方々に長い間がさごそ音が聞こえている、ということは多いのです)。雑音と言えば、稀にチューインガムを噛みながら観劇している人もいますが、くちゃくちゃ音も本人が思う以上に周囲にはよく聞こえています。もしこうした行為が続くようでしたら、幕間に場内スタッフに知らせて、一言言っていただくのがスマートかもしれません。

多くの劇場空間は、どちらかというと「クール」目に温度設定されています。知らず知らず、終演までに腰や足首などが冷え切ってしまうこともしばしば。冷房の入る可能性のある春夏秋は、カーディガン等の羽織を、また季節を問わず、腰に巻いたりできる薄手のひざ掛けやスカーフも持参することをお勧めします。もし忘れた場合、あるいは持参したものでは足りない場合は、無料でブランケットの貸し出しをしている劇場もありますので、会場のスタッフに尋ねてみましょう。(もし用意が無い場合は、買ったプログラムを広げ、表紙を上にして膝の上に置くだけでも効果はあります)

プログラムを買おう!と心に決めている方は、メインのバッグが小型なら、大きめのエコバッグ等を用意しておくと便利です。(最近のミュージカル公演プログラムはA4サイズのものが多いです)。急な雨天に備え、ビニール製のものであればなおいいでしょう。プログラムは1000~2000円程度のものが多いのですが、写真や出演者のプロフィールにとどまらず、作品の詳細なエピソードが掲載されたものも少なくなく、読み応え十分。このプログラムの充実ぶりは、日本がブロードウェイやウェストエンドに誇れる美点です!
 

お洒落は必要?劇場ファッションとマナー

洋画家・猪熊弦一郎のステンドグラス「律動」、電灯装飾「熨斗」に彩られた、趣ある帝国劇場ロビー。写真提供:東宝演劇部

洋画家・猪熊弦一郎のステンドグラス「律動」、電灯装飾「熨斗」に彩られた、趣ある帝国劇場ロビー。写真提供:東宝演劇部

例えば歌舞伎なら着物姿、コンテンポラリー・ダンスの公演なら青山のブティック街で見かけるようなファッションの観客も少なくないのですが、ミュージカルに関しては、観客の服装は総じて「意外にカジュアル」です。自身のファッションよりもチケット代に予算をまわしたい!というリピーターが多いのかもしれません。ドレスコード的な制約はありませんので、華美な服をお持ちでなくとも、全く心配はありません。

ただ、公演初日や千秋楽(最終日)は、出演者や劇場関係者にとっては特別な日となりますので、観る側も多少のお洒落を心がけると、劇場全体に一体感が生まれるかも。また、子連れ観劇の場合、親子でドレスアップすると「家族にとって観劇はスペシャルなこと」という印象が強まり、お子さんにとっても忘れ難い思い出となることでしょう。

簡単なお洒落のアイディアとしては、「デコルテを多少見せて、一粒パールのペンダントをつける」「透け感や光沢感のあるストール、ボレロを羽織る」など。荷物を厭わないなら、「ヒールの高いパンプスやミュールを持参し、劇場で履き替える」のも素敵です(観終わってロッカー前でスニーカーに履き替えている女性を、海外のオペラハウスで見かけたことがあります)。

逆に、注意したいのが、香水のつけすぎ。好みでない香りが始終漂っていると、舞台を楽しむどころではありません。香水はつけないか、つけるとしても動いた際にかすかに香る程度にとどめておきましょう。

要は、劇場は「一人で楽しむ場」ではなく、「パブリックな場」であるということ。客席がいい雰囲気なら、それはおのずと舞台にも伝わり、役者さんをさらに発奮させたりもします。また、舞台からはこちらが思う以上に、客席の様子がよく見えています(役者さんにインタビューしていると、オフレコでそういう話をよく聞きます)。客席と舞台で素敵な「気」の交換をし、皆で最高のひとときを作り上げていきましょう!


いかがでしたか?ミュージカルの敷居は意外に低い、と感じていただけたのではないでしょうか。何本か観ていくうちに、好みのジャンルもはっきりしてきますし、贔屓の俳優さんが出来たりもして、さらなる楽しみが生まれてきます。まずは上記の情報をご参考に、劇場に足を運び、ライブならではの感動に包まれてみてください。「思い立ったが吉日」です!


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