ゲーム専用機がスマートフォンに奪われたもの
プラットフォームによる作り手の取り合い、という視点を持つと、見えてくることがいくつかあります(イラスト 橋本モチチ)
一方ゲーム専用機は、有名な大型タイトルにはいまだ多くのユーザーがついていますし、妖怪ウォッチシリーズのような新たな大ヒットもあるものの、全体の発売タイトル数が激減、市場は縮小傾向にあります。
ゲーム専用機の構造的な問題が解決されない限りは、おそらく今後もこの傾向が加速し、多くのメーカーでモバイル端末向けの事業を拡大させ、ゲーム専用機でのリスクを最小限にする、という戦略が取られていくでしょう。
メーカーにとって、より魅力的なプラットフォームはスマートフォンであり、ゲーム専用機は、高騰する開発費とそれを賄えない市場の小ささから、売り上げの堅いタイトル以外の開発リソースを奪われてしまった、こう考えると、ゲーム専用機とモバイル端末向けのゲームの現状を、両方説明することができます。
余談ですが、日本のゲーム市場に起きていることをメーカー側から考えてみると、海外のゲーム市場とのギャップもスッキリとします。というのも、海外ではまだまだゲーム専用機が頑張っているんですね。しかも、日本では非常に苦しい据え置きハードが主流となっています。
海外では、北米などの大きな市場を背景に、よりたくさんのコストをかけて、世界的大ヒットを狙うという形で、ゲームの規模がさらに巨大化していっています。そういった環境では、より高性能なゲーム機が求められ、携帯ハードよりも据え置きハードということで、PlayStation4やXboxOneが主流ハードとなっています。日本とは真逆の流れですね。
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まだ据え置きハードが頑張っている海外と、モバイル端末市場が世界最大に成長した日本、その背景を比べてみると、日本のゲームメーカーが生き残る為にモバイル端末向けゲームに流れ着いた、という現状が良く分かるのではないでしょうか。世界から見て、日本のゲーム市場が特殊であるということはよく言われることなのですが、その特殊なゲーム業界事情が、またさらに、特殊な市場を生み出しつつあるようです。
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