企業の人材採用

新入社員を迎えるにあたっての心構え…3つのポイントは?

新入社員を迎えるにあたって、新入社員にどのように接したらよいのか……? 職場になじんでくれるのだろうか、早期に戦力となり職場に貢献してくれるのだろうか。そんな不安を抱える新入社員を受け入れる職場で心がけたい、3つのポイントを解説します!

本田 和盛

執筆者:本田 和盛

企業の人材採用ガイド

新入社員を迎えるにあたって、職場が心がける3つのポイント

新入社員を迎えるにあたって、心がけるポイント

新入社員のリアリティショックを緩和する

新入社員の職場配属を心待ちにしている上司や先輩の中には、何となく不安な気持ちになっている方もいることでしょう。新入社員を迎え入れる職場で心がけたいことの1つ目は、新入社員のリアリティショックの緩和です。リアリティショックとは、新入社員が入社前後に受ける、期待と現実のギャップによる衝撃のことです。企業組織のルールや価値観は、学生時代と大きく異なります。傷つきやすい新入社員の受けるショックを、少しでも緩和したいものです。

リアリティショックを緩和できれば、次は仕事にコミットする習慣を身につけさせましょう。仕事と成果にコミットし、ビジネスパーソンとしてのキャパシティ(対応能力)を広げさせることが2つ目です。ビジネスパーソンとしての意識は、最初に配属された職場(初職)の影響を強く受けると言われています。何事も最初が肝心です。

3つ目は、対話による価値観の共有です。学生としての価値観と社会人としての価値観は異なります。価値観の転換がうまくいかない新入社員は、その後も職場不適合を引き起こし、最終的には離職します。企業風土や職場風土になじめず離職することは、ある程度仕方がないことですが、社会人としての価値観に転換できず、未熟な状態のまま離職することはもったいない話です。
 
<目次>
 

まずは、リアリティショックを緩和しよう

素直だけれど打たれ弱い、周囲に配慮しうまく順応できるが、心のどこかに組織に対する違和感を持ち続けている。すべての新入社員がそうだとは限らず、ステレオタイプ的に新入社員像を語ることは適切ではありませんが、そんなタイプの新入社員が増えているような気がします。

新入社員のリアリティショックを緩和するには、入社前から企業組織で行われている現実の仕事を見せて、期待と現実のギャップを小さくしておくことがポイントです。加えて配属後も、職場内のいくつかの仕事をトライアル的に体験させて、職場の仕事の全体像を把握させてから、担当の業務に就かせるとよいでしょう。自分が担当する業務の前後の仕事を知ることで、自身の担当業務の役割や意味づけを立体的に理解することができ、仕事から受けるショックを緩和できます。

「こんなはずではなかった」というショックは、やりがいのある仕事から受ける満足によって打ち消すことが可能です。職場の上司や先輩は、職場の業務上のミッションや企業における自職場の役割の重要性を、耳にタコができるほど何度も新入社員に言い聞かせるようにしてください。

また、新入社員への声かけや、昼食会・飲み会への誘い、仕事面での積極的なサポートもリアリティショックを緩和します。自分はこの職場で歓迎されているのだという感覚を持つことで、ポジティブな気分となり前向きに考えられるようになります。

新入社員への対応で一番不適切なことは、新入社員を放置し孤立させることです。新入社員といえども大人なのだから、分からないことがあれば聞いて来るだろうという考え方は通用しません。表面上は組織に順応し、何の問題も抱えていないような新入社員が、ある日突然、診断書を提出して休職に入ってしまうことが多くの組織で発生しています。様子を見ながら、少しずつ社会人生活、職場環境に順応できるようサポートしていくとよいでしょう。
 

仕事と成果にコミットさせる

新入社員にプロ意識を持たせる

新入社員にプロ意識を持たせる

プロ意識を持って仕事に取り組む姿勢は、新入社員時代に身につくものです。最初に配属された職場がぬるま湯の職場であれば、仕事に真剣に取り組む気持ちが弱くなり、仕事にコミットする意識が身につきません。安易に仕事を右から左に流してしまう習慣を新入社員の時に身につけてしまうと、その後も楽をすることばかり考え、仕事で成果を出すことができなくなります。

新入社員時代は、将来にわたって仕事をするための土台を作る時期です。配属当初のリアリティショックをある程度回避できれば、なるべく早い段階で、役割と成果を明確に示し、組織に対する貢献を求めていくようにしたいものです。厳しい要求にも折れない強靭な精神力は、組織の期待に答えながら結果を残していくことで、徐々に養われます。「私ならやれる」という自尊感情は、成功体験の積み重ねによって持てるようになりますが、できれば新入社員の業務プロセスをサポートしてくれる身近な先輩がいると、より効果的です。

新入社員のサポートをする先輩として、入社3年目くらいの社員がメンターとして選任されることがあります。メンターは年齢が近くて、気さくに悩みなどを相談できる先輩がなるとうまくいきます。同じ職場に適当な人材がいない場合は、他部署の社員をメンターに指名してもよいでしょう。いずれにせよ、新入社員の気持ちに寄り添える社員でなければなりません。メンターを選ぶ場合、新入社員の意見を聞いてみてもよいでしょう。

新入社員の業務プロセスのサポートという点では、メンター以外に指導員役も選任する必要があります。指導員はメンターとは異なり、年齢が近い社員がなる必要はありません。指導員は仕事ができて、なおかつ仕事を教えるのが上手な社員がなります。優秀な社員は、自分が会社から何を求められていて、それをどのような手順・手段で達成したらよいかを理解しています。指導員は仕事のプロとして、新入社員を鍛える役割を果たします。メンターが新入社員の良き相談相手となり、指導員が仕事の基本を教えるのです。
 

対話を通じて価値観を共有する

社会人になっても、学生気分が抜けない若手社員はどうしてもいます。ガイドは、新入社員研修などで学生と社会人の違いは何かという質問をすることがあります。一般的に期待されている答えは、「学生はお金を払う側、社会人はお金を貰う側。社会人はお金を貰って仕事をしているのでプロ意識を持たないといけない」というものです。確かにそうかもしれませんが、お金を貰う、貰わない以前に、社会人は説明責任を果たさなければならないと思います。

説明責任とは、上司や先輩等に対して、自分自身の考えやとった行動の理由をきちんと説明し、自身に課せられた職責を果たしていることを説明する責任です。たとえば残業をする場合は、上司に残業をする理由と残業をしなければ業務にどのような影響が生じるかを具体的に説明し、承認を得なければなりません。しかし説明責任意識が不足していると、上司から残業する理由を聞かれても、「仕事が終わらないから残業するのです。あまり問い詰めないでください。それってパワハラですよ」といった対応をしがちです。

もちろん年配者になっても権利だけを主張し、説明責任を果たさない社員がいます。取引先との会議に遅れても平然としている者、上司から仕事を依頼されても、「無理です」の一言で拒否する者など、皆さんの回りにもいるのではないでしょうか。

本来、社会人であれば誰もが、それぞれの職責に応じた説明責任を果すべきであるという価値観を持っているはずです。しかし現実には説明責任を果たさない、未熟者が増えているという実感があります。

新入社員には、社会人は説明責任を果たさなければならないという価値観を、ぜひ理解してもらいたいところです。新入社員の時に理解しなければ、年配者になっても価値観はなかなか変わりません。価値観を共有するには、新入社員の具体的な職務行動を題材に、どう行動すべきなのかを対話によって粘り強く説明することに尽きます。説明責任を果たさなければならないという価値観を共有できて初めて、新入社員は社会人になるのです。


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