中学受験/中学受験に向けた勉強法・参考書

理科のできる子に育てる低学年からの学習法

プログラミング教育やSTEM教育が注目を集めている中、日本では残念ながら理系科目への興味関心が減衰傾向にあります。理科の勉強はとても難しく、早くから参考書や問題集を使ってお勉強させておけばいいわけではありません。理科が得意な子どもに育てるにはどうしたらよいのか、子育ての極意をお話しします。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド

理科ってとっても難しい!

まず保護者の皆様に知っておいていただきたいことがあります。それは「理科って実はとっても難しい」ということです。こちらは都内のある私立中学の理科の問題ですが、皆さんちょっとやってみてください。恐らく多くの方が解けないのではないでしょうか。
 
武蔵野大学中学校2019入試問題理科

武蔵野大学中学校 2019入試問題理科


「こんなのどうせ、超難関校の理科なんでしょ」そう思われた方もいらっしゃるでしょう。しかし実はこれ、四谷大塚の偏差値表で真ん中くらいの学校です。中学受験の理科がいかに難しいか、お分かりいただけると思います。

中学受験をする子どもたちは12歳にして、こうした問題に立ち向かわなければなりません。4科目のうちで最も難関なのが「理科」であるといっても過言ではありません。それゆえ学習法はとても大切です。では将来理科が得意な子どもに我が子を育てるには、どうしたらよいのでしょうか。
 

AI時代を生き抜くためには理系マインドは絶対に必要

近年、プログラミング教育やSTEM教育が注目を集めています。世界的にみると日本はまだまだこの分野については遅れを取っていて、たとえばアメリカでは10年ほど前から年間で数十億ドルという予算が投入され、STEM教育の推進が国家事業として推し進められています。シンガポールやインドといった新興国でもSTEM教育が盛んにおこなわれており、いまやプログラミング教育やSTEM教育は国際社会においてはスタンダードなものとなりつつあります。

日本では残念ながらこれに逆行するように、年々「理系科目への興味関心」が減衰傾向にあり、国際競争力低下への影響が懸念されています。将来、国際化した社会において活躍できる人材を育てるには、一体どうしたらよいのでしょうか。理科が得意な子に育つ秘策とは?
 

理科と社会では「好奇心」の種類が違う?

さて、では子どもを理科が得意な子に育てるには、一体どうしたらよいのでしょう。保護者の皆さんは先ほどの中学受験の入試問題を見てどう思われましたか? 多くの方が「うげぇ、なんだコレ」とか「こんなの私にはムリ!」と思われたのではないでしょうか。そしてそう思われた方の多くは、理科が苦手だったのではないでしょうか。子どもたちが理科嫌いになってしまう要因が、まさにそこにあるのです。

理科が得意になるためには、社会と同じように「興味・関心」というものが必要になってきます。好奇心旺盛な子でないと、理科や社会は伸びていきません。ところが社会と同じように子ども達に興味や関心を持たせようとして、自然科学博物館に連れていったり、理科実験教室に通わせたりしても、興味は湧くけど難しい入試問題は解けるようにはなりません。これは一体どうしてなのでしょう。

実は社会と違い、理科の問題というのは、ただ知識があるだけでは解けない問題が出てくるのです。数値を使って計算したり、色々な作業をしたりしないと答えが導き出せない問題が多く出されます。ただ興味・関心があるだけでは、途中で投げ出してしまったり諦めてしまったりしてしまうわけです。それでは理科の難しい問題には太刀打ちできません。
 

子どもの「なぜ?」「なに?」を大切に

理科が得意な子どもに育つ秘訣は、低学年のうちから探究心を上手にサポートしてあげること

理科が得意な子どもに育つ秘訣は、低学年のうちから探究心を上手にサポートしてあげること

ではどうすればよいのか。答えは意外に簡単です。子どもというのは元来、強い「探究心」を持っています。これは人間がまだ野生動物だった頃の名残なのです。野生動物は生まれた瞬間に、過酷な自然環境の中に急に投げ出されます。その瞬間に周囲から様々な情報を入手して分析し行動しなければ、たちまち天敵の餌食になってしまいます。そのため動物には、先天的に強い探究心が備わっているのです。

幼い子どもが何にでも興味を示し、「なぜ?」「なに?」と訊いてくるのはそのためです。それを上手に育んでいけば、あとは勝手に「理科が得意の子」に育っていきます。大切なことは、お子さんが「なぜ?」「なに?」と訊いてきた時に、絶対に「はいはい、またあとでね」と受け流さないことです。テキトーに受け流してしまうことを繰り返すと、子ども達は「なぜ?」「なに?」と質問することをつまらなく感じてしまい、やがて訊くのをやめてしまいます。

また「それはね……」とすぐに答えを教えてしまうのもよくありません。すぐにわかってしまうと、逆に答えがすぐに導き出せない問題はすぐに投げ出してしまう、根気のない子に育ってしまいます。すぐに答えを言ってしまわずに、「なんでかな?どうしてかな?」などと声かけしつつ、上手にヒントを与えて自分の力で答えを発見できるように導いてあげてください。

たとえば「なんで月は色々な形があるの?」と尋ねられたら、「それはきっとここに書いてあるんじゃないかなぁ」と言いながら「天体図鑑」を出してあげましょう。「チョウとガって何が違うの?」と聞かれたら、「虫のことはコレだね」と言いながら昆虫図鑑を出してきましょう。

時には一緒になってインターネットで検索してみるのもいいと思います。お母さんにとってたとえ興味のない分野のことであっても、ネットサーフィンをしているとだんだんと興味が湧いてくるということもあります。「子どもと一緒に学ぶ」これが案外大切です。

間違っても机の前に座らせて、テキストを開かせてお勉強させないように気をつけてくださいね。お勉強のできる子に育てるヒントは、机上の学習以外にあるものですから。


「手のかからない子に育てたい」というのは、保護者の方であれば誰もが抱く子育ての理想でしょう。いちいち「勉強やんなさい」「部屋を片付けなさい」「明日の学校の準備しなさい」などと言わなくてもよい子に育てられれば、どんなに楽でしょうか。理科の場合、自ら勉強して得意な子どもに育つ秘訣はこのように低学年のうちから探究心を伸ばしてあげることです。

国語・算数・社会については下記をご覧ください。 【関連記事】
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