音質はどうか
「NASが音質に影響を及ぼすとは考えられない。」と思う方もいるだろう。実際にNASにコピーしたファイルをHDDに書き戻し、ツールを利用して元のファイルと比較しても、1bitの差異もなかった。しかし、実際に試聴してみるとNASによる音質の違いは存在する。
理由は、デジタル信号の転送といっても、実際には電圧の高低といったアナログ信号で転送されるため、周囲のノイズを拾う。これが、ネットワークオーディオプレーヤーに影響を与える。また、データの伝送速度が一定ではないので、ネットワークオーディオプレーヤーでDA変換する際に不規則な負担がかかり、音質に影響する。
とはいうものの音質は感性なので、何が影響しているのかは、解明されていない部分が多いだろう。話は変わるが、アンプの電源ケーブルを定評のあるものに変えるだけで、音質が激変することがある。これも、理論で説明できない1つであろう。
今回利用したネットワークオーディオプレーヤーは、LINNのKLIMAX DS/Kだ。このプレーヤーは、DSD対応ではないので、96KHz/24bit のBeethoven Violinコンチェルト3楽章を3機種のNASで聞いてみた。
結論からいうと機種により劇的に音質が変わることはなかった。ガイドの経験なのだが、スピーカーの下に敷くオーディオボードや電源コードの交換による音質の変化は劇的なものがあった。それに比較すると変化はあるが劇的ではない。
音質の変化だが、LS-WSXLとLS421Dに違いはあまり感じられなかった。しかし、HA-N1AH20に切り替えると、静寂の中から音が湧き出てくるような感じがし、全体的に端正な、そしてみずみずしい音色になった。また、余韻の美しさも感じることができる。
とはいっても、劇的な変化ではない。むしろ、操作性や使い勝手が向上すると捉えた方がよいと思う。「ほかのオーディオ機器と同じようにスイッチをOn/Offでき、同じ程度の時間で立ち上がる。スイッチの耐久性もある。デザインも統一される。それに、加えて音質の変化もある。」と捉えたい。