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警察庁、警視庁、警察本部の違い
「警察庁」は国の行政機関です。内閣総理大臣の所轄下にある国家公安委員会が管理し、トップは警察庁長官です。全国に7つの管区警察局があり、府県警察を指揮監督します。また、北海道と東京都に警察情報通信部を設けています。「警察庁」とは別に「警察本部」という機関があり、後者は実動部隊といったところです。47都道府県それぞれに置かれており、都道府県知事の所轄のもと、都道府県公安委員会が管理しています。そのトップは警視総監です。
ニュースや本、ドラマなどでよく耳にする北海道警、神奈川県警、大阪府警、京都府警、兵庫県警などがこの警察本部に当たります。なお、「警視庁」とは東京都の警察本部を指します。
都道府県警察の職員数は警察庁の約36倍
警察庁「令和3年版 警察白書」によると、令和3年4月1日現在の警察職員の定員は次のとおりです。●警察庁 8031人
(警察官2190人、皇宮護衛官940人、一般職員4901人)
●都道府県警察 28万8172人
(地方警務官630人、地方警察官25万9093人、一般職員2万8449人)
警察官には国家公務員と地方公務員がいる
警察官になるには、国家公務員コースと地方公務員コースがありますが、多くは地方公務員コースでしょう。都道府県に警察官として採用され、昇任試験を受けながら9つの階級を上っていきます。スタートは巡査、次に巡査部長→警部補→警部と進み、トップは警視総監です。
巡査から警視までは地方公務員(以降「地方警察職員」)ですが、警視正になると一般職国家公務員(以降「地方警務官」)になります。国家公務員1種・2種試験に合格した人は巡査部長や警部補からスタートしますが、階級に関係なく国家公務員扱いです。
●警察官の階級
巡査→(階級外 巡査長)→巡査部長→警部補→警部→警視→警視正→警視長→警視監→警視総監
※太字は国家公務員
※巡査長は、巡査のうち勤務成績が優秀で実務経験が豊富な人に与えられる称号で階級にはない。警察組織のトップである警察庁長官も階級外
警察はピラミッド型階級組織
全国の警察官約29万人の約60%は巡査~巡査部長です。警部補は約30%未満、警部は約6.0%未満、警視は約2.5%、地方警務官は約0.2%。巡査~警視まで、いわゆる「地方警察職員」が警察官の約99.8%を占めます。警視正以上の地方警務官には630人(警察法施行令 令和2年3月12日公布)という定員があり、地方警務官である警視監(※)は38人、トップの警視総監は1人です。警察は厳しいピラミッド型階級組織なのです。
※警察庁にも警視監が数名いるが、地方警務官ではない
都道府県の警察官の定年退職金は平均2200万円
総務省「令和2年地方公務員給与実態調査」によると、鳥取県を除く46都道府県の警察職の定年退職者へ支給された退職手当は平均約2201.8万円で、教育公務員より低く、一般職員や一般行政職より高くなっています。- 全職種 2211.2万円(2213.6万円)
- 一般職員 2160.3万円(2159.8万円)
- 一般職員のうち一般行政職 2164.8万円(2181.4万円)
- 教育公務員 2236.6万円(2240.5万円)
- 警察職 2201.8万円(2192.1万円)
●都道府県別:警察職の60歳定年退職者への退職金額トップ10
1位 東京都 2305.9万円(東京都 2275.7万円)
2位 神奈川県 2290.6万円(神奈川県 2269.7万円)
3位 静岡県 2269.5万円(香川県 2261.0万円)
4位 佐賀県 2261.4万円(静岡県 2253.8万円)
5位 長野県 2254.3万円(広島県 2249.9万円)
6位 福島県 2247.6万円(島根県 2248.1万円)
7位 愛媛県 2237.0万円(三重県 2235.9万円)
8位 山梨県 2235.4万円(福島県 2231.2万円)
9位 岐阜県 2234.0万円(長野県 2223.6万円)
10位 和歌山県 2233.9万円(岡山県 2223.2万円)
※平均額は2201.8万円(2192.1万円)
※支給最低額は2115.2万円(2113.6万円)
※( )内は前年
定年退職手当の平均支給額2201.8万円を上回っているのは46都道府県中23都府県です。
警視正より上は国家公務員の給与体系となる
警視正以上は国家公務員ですので、給与や退職手当等は国から支給され、公安職俸給表(一)が適用されます。警視正の役職は、警視庁では参事官や方面本部長・管理官・課長、道府県警察本部の方面本部長や部長、警察署の署長です。
これらのことから、都道府県の警察職の定年退職手当約2201.8万円は、私たちの身近な警察官の平均的な額と考えていいのではないでしょうか。
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