メンバー募集にあたり、昨年オーディションを開催しています。
どんな審査をされたのでしょう?
『白い劇場』稽古場にて
小野寺>オーディションのときは、僕自身もういっぱいいっぱいになってましたね。藤田さんに“とにかく全力でいくから、面白そうなひとがいたら教えて!”と客観的に見てもらって……。“こちらが何を面白いと思ってるか知って!”という気持ちがあったし、“みんなに火を付けたい!”っていう、よくわからない使命感があった。気付いたらワークショップみたいになっていて、オーディションなのか僕の持論を唱える会なのかわからない感じ(笑)。だからすごく疲れたし、アドレナリンが出た。でもたぶん、それが自己紹介だったと思う。
戸惑ったひとは多かったかもしれません。急にセリフを言えとか、チリのように歩いて、なんて言うので。やった後に“どうでした?”と聞くと、“すごく気持いいです!”とか、“チリになりました!”と言う。そこでまた僕が“それはちょっとどうだろう……”なんて余計なことを解説してみたり、ひとり無駄にアツイひとがいる感じ(笑)。でもそれでいいんです。だって、自己紹介なので。
非常に難度の高いオーディションですね。
小野寺>例えば“ここにペットボトルがあります、さてこれで何かできますか?”というお題が出されたとする。マイムでいうところの見立ての作業なんですけど、そこに興味が持てるかどうかが重要。等速と言われたとき、一生懸命等速を探すひと、等速とはこういうものだって形で落ちていくひと、何だかわからず終わるひとと、はたで見てるとわかる。
キャラクターをつくってみてと言われたとき、楽しんでできるひとと、苦行になっちゃうひとと、こんな感じでどうですか? っていうひとがいる。だけどなかには、“へーっ!”てワクワクするひともいる。答えがあることではないから、結局何でもいいんです。そのひとが生き生きしてくれたらそれでいい。ただ腑に落ちたとき、ひとの顔って変わるんですよね。今考えると、それを僕なりに探してたのかなって思います。