ローマの新市街エウル
ローマの南にある新市街エウル(Eur)は、Esposizione Universale di Roma(ローマ万博)の頭文字をとったもので、ムッソリーニ政権時代の1940年代に、万博開催の予定地でした。結局第2次世界大戦が始まり、万博は行われなかったのですが、その時代の建物が多く残る、建築学的にも興味深いエリアで、またそれらの建物を使った博物館が林立する文化地区でもあります。今回はそんなエウル観光に便利な穴場ホテルを紹介します。
ホテル・ヴィッラ・エウル(Hotel Villa Eur)
もともとは隣にある宗教施設Marist Brothers (マリスト教育修道士会)の所有だった建物を、宿泊施設に改造し、2000年の聖年に向けて開業。当初は巡礼者用の施設だったものが、3つ星のモダンなホテルに生まれ変わりました。まだあまり知られていないので穴場です。
全部で91部屋、バスタブつきの部屋もあります。もちろんWi-Fiあり。雰囲気のいい併設のレストランでは食事もできます。ガイドのお勧めは地上階にあるバールです。マリスト修道士会の建物はムッソリーニの時代の土台をうまく組み込んでできているのですが、ここではコーヒーを飲みながらその建築構造を眺めることができるのです。
そしてお値段は、二人部屋で50ユーロほど、とかなり良心的です。ネットで予約する際に、クレジットカードで先払いすると10%割引の特典があります。
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■Hotel Vlla Eur(ホテル・ヴィッラ・エウル)
住所:Piazzale Marcellino Champagnat 2, Roma 00144
電話:06-54220627
アクセス:地下鉄B線Eur Fermi駅下車、徒歩15分
隣接するMarist Brothers(マリスト教育修道士会)
1817年に聖マルセリン・シャンパニアによって設立された教育修道士会で、日本にも数多く学校があります。Villa Eurはもともと同修道会の建物だったので、どことなく神聖な雰囲気が漂います。修道会の敷地内に、聖母マリアに捧げられた礼拝堂があるので、ぜひ見に行ってみてください。外観は流れ星をイメージしています。入口にはレベッカやユーディットなど旧約聖書の女性たちが表されたレリーフがあり、ステンドグラスでできた小さな十字架が素敵です。レリーフの作者はイタリア人彫刻家アンジェロ・ビアンチーニ。バチカン博物館のラファエッロの部屋からシスティーナ礼拝堂に行く途中にある近代美術館で、階段を下りる手前の踊り場にあるのはすべてビアンチーニの陶器作品ですので、見たことがある方も多いと思います。礼拝堂は通常は閉まっていますが、もし開いていたら、クーポラの美しいステンドグラスと、陶器でできたビアンチーニ作の中央祭壇に注目です。