こどもの絵画発達段階

「うちの子、なかなか絵が上達しません」「他の子に比べると、絵が上手く描けて いません」など、 親御さんから悩みの言葉を聞くことがあります。それについて触れる前に、まず、絵画活動の発達段階について知っていきましょう。

2歳頃 頭から手足が生える「頭足人」を描くようになる

2歳頃〈象徴期〉頭から手足が生える「頭足人」を描くようになる

絵画における発達段階は、体の成長と合わせ少しずつ変化していきます。なぐり描きをする「錯画期」にはじまり、形態の独立や意味づけをしたりする「象徴期」。頭から手足が生える「頭足人」はこの時期の特徴です。

その後、規底線を描き画面上には空などの空間表現をしたり、バスの中をそのまま画くレントゲン描法などが特徴の「図式期」。 そして、写実的表現が見られる「写実期」と続きます。

5歳頃〈図式期〉作品名 『いぬ、カニのごちそうをたべる』

5歳頃〈図式期〉作品名 『いぬ、カニのごちそうをたべる』

この成長段階は、ひとつを通り越して発達するものではなく必ず段階を踏まえていきます。また、成長の早さには個人差があります。そのことをよく理解し、個々の成長を見つめていくことが大切です。




幼児期の絵画活動で気をつけていくこと

こどもは自由に絵を描き、感じたものをを表現していきます。その表現活動を通して生まれる想像性(創造性)の芽をつぶさないためにも、特に幼児期の絵画活動では次のことに気をつけていくのが大切です。

  1. きれいに描く、丁寧に塗るなどの技術的なことよりも、こどもが制作する過程の楽しみを重視しましょう
  2. 気分が乗らず勝手に早く終了させても、無理強いはしないようにしましょう
  3. 作品は絶対にけなさない。ほめるときは「上手」「うまい」ではなく具体的にほめましょう。例えば「きれいな空の色だね」とか「何だか幸せな気持ちになってくる顔だね」など、I(アイ)メッセージを心がけましょう

こどもの気持ちを理解し共感していくことや、時にはこどもと同じ目線になって一緒に楽しんでいくことも大切です。

こどもの絵画上達を見守る視点「こ・こ・が・よ・し」

こどもの絵(作品)を見るポイントとして、「こ・こ・が・よ・し」を覚えておくといいと言われています。

 「個性的な絵」
 「こどもらしい絵」
 「画面いっぱいに描かれている絵」
 「喜びにあふれている」
 「焦点がはっきりしている」

これらのポイント見ると、こどもの絵には悪いところを指摘するところは全くありません。

こどもはみんなアーティスト

5歳児(男の子)の作品『綱引き』のイメージ画

5歳児(男の子)の作品『綱引き』のイメージ画

画用紙に、黒のクレヨンで描いた線一本と両端にそれぞれまるひとつずつ。 年長クラスで運動会をテーマに絵を描いた時、「はい、できたぞ!」と持ってきた男の子の作品は、大活躍をした〈綱引き〉の絵でした。

彼は絵画活動が苦手で、制作を途中で拒否したりまた参加しなかったりと、保育士泣かせのこどもでした。この日、誰よりも真っ先にクレヨンを取り、勢いで描いたのがこの作品です。線と円のみで表現した〈綱引き〉の絵。はじめて完成することができたことに達成感を得、ほめられたことに自信を持つようになりました。その後、嫌がらず絵画活動に参加するようになり、それまで気がつかなかった色の混色や新しい技法の発見をし、これらの体験が喜びへと変わっていったのです。

ほめられて喜びへとつかみとったこどもは、友だちの作品をも認めほめるようになります。また、優しい言葉がけもできるようになります。そして、友だち同士共に刺激しあい、学習し成長していくのです。

絵を上手く描くには……。絵画の表現活動が楽しいと感じれば制作が好きになり、好きになれば描くことが増え、また認めてもらえれば自信につながります。自信がつけば誰でもすばらしい絵になると思います。成長と共に表現の世界がひろがり、やがて写実的描写にも興味が出て、観察画や模写などにも挑戦したいと感じてきます。発達段階があることや、こどもの絵を見るポイントを頭において、慌てずゆっくり成長を見守ってください。こどもはみんな、個々に光るアーティストなのですから。


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