心身の発達と深いかかわりのある子どものお絵かき

心身の発達と深いかかわりのある子どものお絵かき


子どもの絵は、人の心をひきつける魅力を持っています。つい微笑んでしまいたくなるような絵。躍動感ある生き生きとした絵。たくさんのメッセージが盛り込まれた絵。

  東山明先生
神戸大学名誉教授
園田学園女子大学教授
美術教育・子ども文化論
そんな子ども達の絵を年齢順に見ていくと、発達には順序があり、多少早さの違いはありますが、どの子も基本的には、ほぼ同じ発達の道筋をたどっています。しかも、その発達の道筋は幼児の段階では万国共通であるといえるのです。さらに、興味深いことに、心身の発達とも深いかかわりがあるというのです。

2005年の7月に開催された第43回「子ども学」講演会で、私の恩師である東山教授が講演されました「発達の道筋~絵に見る子どもの成長」をもとに「子どもの絵の発達段階」をご紹介したいと思います。

東山教授は多くの子どもの絵を調査研究し、そのデータとアメリカの観術教育の研究者であるローウェンフェルド、心理学者のサイリル・バードの学説をはじめ、多くの発達研究を参考に、今から紹介する「子どもの絵の発達段階」を作成されました。

子どもの絵の発達段階


■ なぐりがきの時期(錯画期・スクリブル)・・・1歳半から2歳半ごろ

■ 象徴期(命名期→図式期)・・・2歳半頃から4歳ごろ

■ 図式期・・・5歳から8歳ごろ

■ 写実の黎明期・・・8歳から11歳ごろ

■ 写実期・・・11歳から14歳ごろ

■ 完成期・・・14歳から18歳ごろ
 

子どもの絵の発達段階


■ なぐりがきの時期(錯画期・スクリブル)・・・1歳半から2歳半ごろ

・はじめは、点や短い線をたたくように描く
・手首だけでなく、ひじも使うようになり、線はなめらかになる。
・線に意味をもたせて、つぶやきながら描く。


初期のなぐりがきは、鉛筆やくれよん
を握って紙をたたいているうちに点や
短い線が描けるといったもの

手のコントロールが手首とひじで結合
し始めるとらせん形や渦巻き形などの
線を複合的に組み合わせ、自由に線を
走らせて描く


「電車に乗って遊びに行った」(3歳前後)下の2本線と連なる丸は、電車が走る時間的経過を示す。左上は車、頭足人の人は右から父、自分、母、左の小さいのは赤ちゃん。自分の書きたいことをカタログのようにバラバラに画面いっぱいに描いている
■ 象徴期(命名期→図式期)・・・2歳半頃から4歳ごろ

・丸や渦巻きの形が現れ、それに意味づけをする。
・形を羅列的・断片的に連想するままに描く。
・象徴的な形から頭足人のような人や車や家が現れる。
・色は好みにまかせて塗るが、4歳ぐらいから対象物と一致し始める。


■ 図式期・・・5歳から8歳ごろ

・人形・太陽・花・木・家を記号(図式)的に描き、しだいに動作表情が現れ、形も複雑化していく。
・基底線、空が現れ、画面上に空間の設置ができる。
・レントゲン画法、展開画法、多視点画法、割合の欠如、拡大描写、擬人化など幼児独特の表現方法で描く。
・男児は強いもの、はやいもの、メカニックなものなど闘争的な題材、女児は家、花、小鳥などの小動物といった平和的な題材の絵を描く傾向がある。


「父と自転車で散歩」(5歳児)
父と自転車に乗って散歩に行った。
三輪車のペダル、チエーンをバラバラ
に認識しているのが楽しい。

「ワニ」(小学1年)
口は横から、目は正面、足は上からと
いろいろな視点から見たように描いて
いる。ワニの特徴をうまく組み合わせ
て描いている。