ヒント1. 無理をしない、頑張らない、楽になる治療を
つらい更年期は自分だけじゃない――気持ちの分かち合いが大切
そして、「数年前まではあんなに元気だったのに」「私はもともとエネルギッシュなのに」などと、以前の自分と比べないことです。更年期の不調は女性なら誰でも経験するものなのですから、気長にあせらず、無理をせずに生活していきましょう。
家事でも仕事でも、完璧主義にならないことも大切です。どうしてもやらねばならない優先事項以外は、手を抜き、思い通りにできなくてもいいと、受け流していきましょう。ただでさえ、家族のライフステージの変化によって、気を揉むこと、対応することが増えていくのですから、完璧にやろうとするとパンクしてしまいます。
また、昨日は調子が良かったのに、今日はだるくてしんどい――というように、体調は日によって変わることが少なくありません。したがって、毎日のようにハードな予定を入れず、適度に休めるようなゆとりあるスケジュールにしていくことが必要です。
ヒント2. 周囲の無理解に落胆する必要はない
更年期には、不快な感情に振り回されやすいもの。ただし、そうした感情に巻き込まれないように、自他の感情の状態を理解していく必要があります。「夫が気にかけてくれない」「子どもにだらしがないと言われた」などと落ち込む方も多いですが、そもそも更年期の不調は、当事者以外には理解しにくいものです。異性である夫、ましてや子どもには分かりにくい症状なのですから、家族が思うような対応をしてくれないこと、優しい言葉をかけてくれないことに、落胆する必要はありません。自分の症状を伝えながら、理解を促していくといいでしょう。
また、憂うつがイライラに変わり、苛立ちをぶつけてしまうこともあるかもしれません。そうなってしまったとしても、そんな自分に過剰に落ち込まないことです。苛立ちが湧きやすいなら、次の「その3」のように自分の気持ちを分かってくれる人と、定期的に話をする機会を確保することが有効です。
ヒント3. 気持ちを理解してくれる人、分かち合える人が必要
更年期の不快な感情は、同じ経験をしてこそ理解でき、共感できるものです。自分の感情を理解してもらい、共感的に受け止めてもらえれば、それまで抱えていた思いがすっと楽になり、浄化されるでしょう。同世代の友人同士、地域のサークルや勉強会などで知り合った友人などのなかで、すでに更年期を経験してきた人、または、今まさに更年期を経験している人と話をする機会を持てるとよいと思います。同じ経験をしてきた人の話のなかにこそ、生きたアドバイスがあります。当事者間で気持ちを分かち合うだけで、孤独が薄れ、安心感を持つことができます。
――更年期の不調は、長きにわたって続くものです。その期間、少しでも気持ちと体を楽にし、安心して暮らせるように体と心の管理を続けていくことが必要です。