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スターの登竜門!NBA全国バレエコンクール 後編(3ページ目)

1998年にスタートし、以来数々の才能を発掘してきたNBA全国バレエコンクール。1月に開催される本戦はローザンヌの前哨戦ともいわれ、毎年大きな注目を集めています。全国から集うスター候補たちの中から、頂点を極める逸材とは……? コンクール運営委員長・久保栄治さんにお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド



今後コンクールをどのように育てていきたいと考えていますか?

ph

 

久保>将来的には国際コンクールまで持っていきたいですね。NBA全国バレエコンクールから育ち、世界中のいろいろなカンパニーで活躍してるひとは本当に沢山いる。海外に散らばっているダンサーを日本に集めたら、おそらくすごい数になると思います。それこそ数え切れないくらい。

NBA全国バレエコンクールからどんどんダンサーが巣立っていくのを見るのは非常に楽しみです。ただ日本に受け皿がないから、みんな海外に行ってしまう。みんないい時期に向こうで花開いているんです。日本と違って、海外なら十分生活していける。しかもプリンシパルクラスになるとかなりの収入が得られから、海外に行きたがるのはしょうがない。年金や保証もあるし、待遇があまりにも違う。日本もバレエできちんと生活が成り立てばいいんですけど……。

ph

 

それは日本のバレエ界だけの責任ではなくて、文化の体制そのものに起因していると思います。もともと海外の芸術だし、あまりバレエという文化が浸透していない。日本ではバレエ=お稽古事で、教室ばかりいっぱいある状態になっている。結局お稽古事文化ということ。

西洋のものではあるけれど、実をいうとバレエは日本人に非常に合っているんです。胴が長くて足が短いから重心が取りやすいし、細かいステップをコツコツ習得するのも性に合ってる。細やかな感性も素晴らしいものを持っている。体操やフィギュアスケートも、活躍している子は日本人が多いですよね。世界中のバレエ界をみても、一番活躍しているのはおそらく日本人だと思います。

ph

 

ちょっと前までは吉田都さんや中村かおりさんが海外で活躍してましたけど、彼女たちが東京新聞のコンクールに出たときは本当にびっくりしたものです。中村かおりさんは自分の出番が来てるのに他の子の衣装を縫ってましたから。“中村さん出番ですよ!”なんてせかされながら舞台に出て、それで一位を取っていた。実力があるから、どんなときも平常心を保っていられる余裕があるんでしょうね。

NBA全国バレエコンクールでスカラーを取って、バレエ学校に入って、プロになって……、というダンサーの全サイクルを見てきました。海外のカンパニーにも東洋人枠というのがあって、うまく入れるひともいれば、実力があってもタイミング次第で入れないひともいる。そこは運なのでしょ
ph

 

う。定年後もひとそれぞれです。海外は年金が出るけど、日本になると良くてバレエの先生ですよね。NBAバレエ団芸術監督の久保紘一(久保栄治氏ご子息)のように、二十年間海外でプリンシパルをやらせてもらい、日本に帰ってきて芸術監督に就けるというのは非常に恵まれてるケース。

今はひと駅にバレエ教室がいくつもある時代で、男性舞踊手もどんどん増えているから、これまでのように発表会に呼ばれて収入を得られるような機会も少なくなる。日本のバレエ界を取り巻く環境はより厳しくなってくると思います。

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