大貫さんにとって初のレギュラー出演となる連続ドラマ『セカンド・ラブ』。劇中はドイツのダンスカンパニーで活躍する新進コンテンポラリー・ダンサー、一之瀬佑都役を演じます。念願のドラマ出演を叶えた現在の心境はいかがですか?
大貫>もともと脚本家の大石静さんが『マシュー・ボーンのドリアン・グレイ』などいくつか僕の作品を観て、興味を持ってくださっていたそうです。僕も3年くらい前からその話を聞いていて、いつか何かやれたらいいなと思っていたら、本当に声をかけてくださって……。大石さんとは撮影前にお会いして、自分の身の周りに起きていること、コンテンポラリー・ダンス界で起きていることをお話させてもらいました。日本のコンテンポラリー・ダンス界の現状がどうなっているか、また海外ではどういう状況で、そのなかで自分はどういう風に考えているか、といったことを伝えました。
コンテンポラリー・ダンスって、まだまだ知らないひとが多いですよね。だいたい“コンテンポラリー・ダンスって何?”という程度の認識だし、“何だろう?”と思っても観に行こうとはしない。だから、やっぱりまずは知ってもらわなければいけない。コンテンポラリー・ダンサーとしてこういうチャンスをいただけたことは本当にありがたいし、もっともっと日本に広まっていって欲しいと思う。そのきっかけになれたらすごく嬉しいし、僕が持っているものは何でもお伝えしますと話しました。
『ドリアン・グレイ』(C)ホリプロ
慶みたいなひとって、実際にいると思うんです。僕の周りでもそうだけど、海外から日本に戻ってきたダンサーはいろいろ上手くいかずに悩むことが多いようです。何故かというと、海外では活躍していたかもしれないけれど、日本では名前が知られていないから。すごいダンサーでも、やっぱり名前が浸透するまで1~2年はかかりますよね。ダンス界ってコネクションをつくることが一番大事で、日本で踊っていくためには地道にやり続ける必要がある。
僕の場合は17歳からプロとして踊ってきて、少しずつ広がっていった感じでしたけど、慶みたいに海外から帰ってきて……、というパターンは大変だと思います。どうやってダンスと関わって生きていこうかとみんな必死に模索する。しかも、いったん落ちてしまうとあそこまで強い意志を持ち続けるのは難しい。一年目くらいだったらまだいいかもしれない。でも二年、三年、四年と経ってくると悩むだろうし、はじめはイヤがっていても、最終的に生きる手段として先生になっていく。本当に、ダンサーたちに起こっているリアルを描いているドラマだなって感じます。
ドラマ『セカンド・ラブ』より