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石井かほる出演『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』(5ページ目)

日本洋舞史の100年を振り返る『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』。第二回開催を迎える今回は、昭和初期を中心に初演された6作品を上演し、過去から未来へとアーカイブを繋ぎます。ここでは、出演および作品監修を手がける石井かほるさんにインタビュー。公演への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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石井漠先生はどんな方でしたか?

石井>みんなは怖がって近寄らなかったけれど(笑)、私は末っ子の甘ったれでしたから、私には厳しくなかったし、本当に怖いと思ったことはなかったです。その代わり、稽古は厳しかったですね。例えばゆっくり身体を起こす動きをしていると、先生がそれは違うと言う。でも、何が違うのかはわからないんです。また別のやり方をしても、全然違うと言われる。けれど、それが何故かは言ってくれない。そういう厳しさはものすごくありましたけど、稽古以外のことで怖い思いは私は経験してないですね。

日常の生活の中で教わったこともいっぱいありました。漠先生の部屋に行くと“かほる、今日は日差しがいいからここに持ってこよう”と言っては、その日の気分によって机を移動するんです。それは舞台上での空間感覚の面ですごく勉強になりました。切手の貼り方だとか、封書に文字を書くときの字配りもよく注意された覚えがありますが、やはりそれも舞台の空間と同じですよね。先生はお線香がお好きで、いつも部屋で立てていました。そこにほんのちょっと風を送ると、お線香の薫りがふわっと立ち上がる。先生がそれを見て、“これが動きなんだよ”と言われたり……。

漠先生はお目が悪く、私が入門したときはもうすでにぼんやりとしか見えない状態だったので、原稿書きなどもお手伝いさせていただきました。私は好きでやってましたけど、みんなは逃げちゃうんです(笑)。でも私は先生と一緒にコーヒーを飲みながら、沢山お話をお聞きしました。それでも、知らないことがいっぱいありすぎる。日常っていろいろなものを消してしまいますよね。でももっと先生が考えてらしたことを知りたいし、資料を集め、掘り起こしていきたいと考えています。それはまた、私がやらなければいけないことだと思っています。

ph

 



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