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石井かほる出演『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』(2ページ目)

日本洋舞史の100年を振り返る『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』。第二回開催を迎える今回は、昭和初期を中心に初演された6作品を上演し、過去から未来へとアーカイブを繋ぎます。ここでは、出演および作品監修を手がける石井かほるさんにインタビュー。公演への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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今回上演する石井漠振付作『マスク』(1923年初演)は、当時の映像が発見されたそうですね。

石井>ヨーロッパから帰国後に漠先生が三越の屋上で踊られたときの映像で、静岡県の島田市にある図書館に所蔵されていました。撮ったのは写真家の清水真一さんで、聞くところによると島田市の文化功労者第一号の方だそうです。映像を見ると、プラカードに漠先生の字で『表現派ふうマスク・スクリャービン曲』と書かれてあり、先生がものすごい勢いで踊ってる。それが非常にアバンギャルドなんです。

“表現派ふう”とはどういうものかというと、個々の人間の内面性を明確に表出して、その上でフォルムや色彩を変形して、非写実的なデフォルメと幻視性、強いタッチなどを表す作風です。演劇性はなく、表現派というものを先生が確実にとらえてやってらっしゃるのがわかります。当時の欧米の社会風潮や時代感覚を敏感に受け止めてらした方なんだなと改めて思って、“先生すごいよ!”って話しかけています。その映像がきっかけになって、今回『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』で上演してみようということになりました。

映像に収められているのは作品の一部だけなので大変短く、スクリャービン曲とは書いてあるけれど、無音ですからどの楽曲なのかはわからない。音楽監修の笠松氏と打ち合せをしたとき、私が“映像を見た動きからするとたぶん6/8か3拍子だと思う”と言ったら音楽を探してくださったんですが、実はスクリャービンの小品って200曲以上あるんです。それからいろいろと聴き比べ、いくつか候補をしぼっていきました。

漠先生は帰国後にペール・ギュントの『アニトラの踊り』を振付けてらして、私自身も以前踊ったことがありますが、映像を見ると腕の動きが似てるんですよね。『マスク』の動きを使ってらっしゃるんだなと思ったので、自分の記憶を辿っていきつつ、先生にお伺いをたてながらつくっていこうと考えています。大変だけど、嬉しいし、わくわくする仕事ですね。

ph

『マスク』



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