地方公務員の退職金はいくら?

収入が安定しており、就職先として人気がある地方公務員の退職金(退職手当)の平均額などを総務省「給与・定員等の調査結果等(令和2年)」のデータをもとに解説します。

【ガイドの大沼さんが動画で地方公務員の退職金について解説します】


【目次】
地方公務員の数は国家公務員の約5倍
地方公務員の給与水準をはかる「ラスパイレス指数」
ラスパイレス指数は都道府県>指定都市>特別区>市>町村
退職金の平均支給額は都道府県より指定都市のほうが高い
60歳定年退職者の退職金は平均2100万円前後
定年退職金は国家公務員より地方公務員が高い
 

地方公務員の数は国家公務員の約5倍

本題に入る前に、地方公務員の人数などの全体像をイメージしてみましょう。国家公務員は58.7万人(「令和2年度末予算定員 令和3年2月1日現在」より)、それに対し令和2年4月1日現在の都道府県・指定都市・市区町村(一部事務組合等を含む)の自治体に属する地方公務員は276万人。国家公務員の4.7倍もいます。

総務省「給与・定員等の調査結果等」によると、令和2年4月1日時点の職員数と構成比は次のとおりです。
  • 都道府県 約140万人(約50.7%)
  • 指定都市(※) 約35万人(約12.7%)
  • 市区町村等 約101万人(約36.6%)
※指定都市とは人口が50万人以上の「区」を持つ政令で指定された市で、都道府県とほぼ同じレベルの権限を持ちます。

また、部門別の職員数と構成比は以下のとおりです。
  • 一般行政 約92.8万人(約33.6%)
  • 教育部門 約102.8万人(約37.2%) 
  • 警察部門 約29.0万人(約10.5%)
  • 防部門 約16.3万人(約5.9%)
  • 公営企業等会計部門 約35.3万人(約12.8%)
職種には、事務職(行政事務、学校事務、警察事務、消防事務)や資格・免許職(福祉、保育士、保健師、栄養士)、警察官、消防官、技能職(土木や農林水産など)などがあります。
 

地方公務員の給与水準をはかる「ラスパイレス指数」

ラスパイレス指数とは、全地方公共団体の一般行政職の給料月額を同一の基準で比較するため、国の職員数(構成)を用いて、学歴や経験年数の差による影響を補正し、国の行政職俸給表(一)適用職員の俸給月額を100として計算した指数(総務省「給与・定員等の調査結果等(平成26年)」)のことです。

ざっくり言えば、ラスパイレス指数が100を超えていれば国家公務員より給与が高く、100を切っていれば国家公務員より低いということです。
 

ラスパイレス指数は都道府県>指定都市>特別区>市>町村

令和2年4月現在の地方公共団体の一般行政職のラスパイレス指数は、平均が99.1で、都道府県は100.0、指定都市が99.9、特別区99.1、市が98.9、町村が96.4です。都道府県と指定都市は国家公務員とほぼ同水準の給与となっています。因みに平成31年4月1日のラスパイレス指数は平均が99.1で、指定都市(99.9)>都道府県、特別区(99.8)>市(98.9)>町村(96.3)でした。

※特別区とは東京23区のこと。基礎自治体とも呼ばれ、市町村と同じような権限を持つ。

●地方公共団体のラスパイレス指数(平均/最高/最低)
  •  都道府県 100.0/愛知県 102.5/鳥取県 95.4
  •  指定都市 99.9/仙台市 102.6/大阪市 96.7
  •  市区町村  98.5/千葉県芝山町 103.9/東京都御蔵島村 75.1
(出所:令和2年地方公務員給与実態調査(総務省))

地方公共団体は、普通地方公共団体と特別地方公共団体に大別されます。それぞれ次のようなものが属し、給与体系や諸手当制度なども異なります。
  • 普通地方公共団体 都道府県、指定都市、市町村
  • 特別地方公共団体 特別区、地方公共団体の組合、財産区、地方開発事業団

退職金の平均支給額は都道府県より指定都市のほうが高い

都道府県・指定都市・市区町村の公務員のうち、平成31年4月1日~令和2年3月31日に退職した人の退職手当の平均支給額を、総務省「給与・定員等の調査結果等(令和2年)」をもとに見てみましょう。

以下に職種別の平均支給額を挙げました。( )内は最高額を支給した地方公共団体名と金額です。

●都道府県(47団体)
  • 全職種 約1164万円(秋田県 約1938万円)
  • 一般職員 約1265万円(三重県 約1877万円)
  • 一般職員のうち一般行政職 約1480万円(三重県 約2100万円)
  • 教育公務員 約1156万円(大分県 約2119万円)
  • 警察職 約1717万円(徳島県 約1998万円)
●指定都市(20団体)
  • 全職種 約1401万円(広島市1916万円)
  • 一般職員 約1380万円(福岡市 1850万円)
  • 一般職員のうち一般行政職 約1769万円(浜松市 2005万円)
  • 教育公務員 約1642万円(熊本市 2127万円)
●市区町村
  • 全職種(1570団体) 約1331万円(徳島県勝浦町 2523万円)
  • 一般職員(1564団体) 約1340万円(徳島県勝浦町 2523万円)
  • 一般職員のうち一般行政職(1429団体) 1546万円(大分県宇佐市 2434万円)
  • 教育公務員(133団体) 約965万円(福岡県久留米市 2353万円)
ラスパイレス指数では都道府県>指定都市>特別区>市>町村でしたが、退職手当の平均支給額は「指定都市>市区町村>都道府県」になっています。指定都市の一般行政職で支給額が2000万円を超えるのはトップだけ、1800万円以上2000万円未満が7市、1600万円超え1800万円未満が9市です。また、市区町村の一般行政職で支給額が2000万円を超えるのは195団体です。
 

60歳定年退職者の退職金は平均2100万円前後

では、60歳で定年退職した人だと、退職手当の平均支給額はどれくらいでしょうか。こちらも職種別に見てみましょう。( )内は最高額を支給した地方公共団体名と金額です。

●都道府県(47団体)
  • 全職種 約2211万円(静岡県 約2295万円)
  • 一般職員 約2160万円(静岡県 約2293万円)
  • 一般職員のうち一般行政職 約2165万円(静岡県 約2349万円)
  • 教育公務員 約2237万円(三重県 約2319万円)
  • 警察職 約2202万円(東京都 約2306万円)
●指定都市(20団体)
  • 全職種 約2163万円(堺市 2232万円) 
  • 一般職員 約2107万円(千葉市 2203万円)
  • 一般職員のうち一般行政職 約2247万円(さいたま市 2439万円)
  • 教育公務員 約2243万円(名古屋市 約2362万円)
●市区町村
  • 全職種(1248団体) 約2016万円(千葉県大網白里市 2480万円)
  • 一般職員(1235団体) 約2016万円(千葉県大網白里市 2480万円)
  • 一般職員のうち一般行政職(1059団体) 約2160万円(東京都羽村市 2630万円)
  • 教育公務員(37団体) 約2147万円(兵庫県姫路市 2494万円)
ご覧のように、60歳定年退職者(全職種)が受け取った退職手当の平均支給額は、都道府県は約2211万円、指定都市は約2163万円、市区町村は約2016万円です。

一般行政職で見てみると、都道府県が約2165万円、指定都市は約2247万円、市区町村は約2160万円で、指定都市>都道府県>市区町村の順です。
 

定年退職金は国家公務員より地方公務員が高い

国家公務員の退職金、平均でいくら?」によると、常勤職員のうち60歳以上の定年退職手当は平均2091万円、行政職俸給表(一)の定年退職手当は平均2141万円です。

一方、地方公務員の一般行政職の定年退職者の平均退職手当は、都道府県が約2165万円、指定都市は約2247万円、市区町村は約2160万円。つまり国家公務員に対して、都道府県は24万円超え、指定都市は106万円超え、市区町村は19万円超えです。順位は、指定都市>都道府県>市区町村>国家公務員の順になりました。公務員の定年退職金支給額のトップが指定都市で、最低が国家公務員とは、これいかに?

※地方公務員の退職手当の詳細は総務省の「令和2年 地方公務員給与実態調査結果の状況」を参照してください。

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