マネジメント/マネジメント事例

組織の大手術を断行! パナソニックV字回復のなぜ

パナソニックの業績V回復が話題です。最大の要因としては事業の選択と集中がありました。そして具体的にそれを可能にしたものは、組織編成の変更。すなわち、創業者松下幸之助氏に由来し一時期は同社の代名詞的存在でもあった事業部制組織への回帰でした。組織編成の考え方の基本を押さえつつ、そのメリット、デメリットの観点からパナソニックの業績回復を検証してみます。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

組織のタイプは2つに分けられる

企業の組織編成は、分業と調整のあり方によって決定されます。組織編成と聞くと少し難しいかもしれませんが、大きく分けてそのタイプは2つ。その違いは、実はシンプルです。今回は、そんな2つのタイプ、「職能別組織」と「事業部制組織」について、日本を代表する企業であるパナソニックを例に解説します。


職能別組織とは何か

まずは「職能別組織」から。企業活動における一般的な組織編成といえば、トップマネジメントの下に製造部門、営業部門、管理部門などが並列でぶら下がる形がイメージされると思います。これが、職能別組織と言われる形態です。昔から多くの企業組織で採用されています。

職能別組織は、トップへの権限集中、分業、専門化が主な特徴。トップ中心の強固な組織統制の実現、分業集中による規模の経済、専門化による各機能の熟練がメリットとして挙げられます。逆にデメリットとしては、トップへの負担偏重、セクショナリズムによる組織内コミュニケーションの停滞、専門化によるマネジメント人材不足などが挙げられ、利益責任の所在の不明確さもまた懸念されます。


事業部制組織とは

解説

事業部制は各事業部の独立採算が特徴

これとは、好対照な組織編成が「事業部制組織」です。事業部制組織は、トップマネジメントの下に管理単位の事業部と呼ばれる事業別の独立ユニットを並列に配した組織形態で、その最大の特徴はユニットごとの分権管理にあります。(右図を参照)

各事業部は製品・サービス、あるいは地域、顧客を基準として分類され、そのそれぞれに大幅な権限が移譲されることになります。各事業部は個別に計画立案、実行、管理をおこない、独立採算、権限委譲をキーワードに利益責任単位(プロフィットセンター)として企業組織全体の利益向上に貢献する責任を負います。

事業部制のメリットとしては、トップマネジメントの管理業務からの解放、現場の状況を反映した迅速な意思決定、部門幹部の管理意識の醸成と管理者の早期育成などがあげられます。一方デメリットとしては、開発、購買などの機能の複数事業部での重複、利益責任意識に伴う短期利益追求への偏重、事業部間の競争意識による不協和音発生などが懸念されます。

職能別組織、事業部制組織、どちらがよいとは一概には言えないのですが、それぞれのメリット、デメリットを十分理解した上で、各企業の組織風土や事業展開、運営実態などに合った組織形態を選択することが重要であると言えるでしょう。

>>>次のページでパナソニックのケースを例に、この二つの組織編成についてさらに詳しく解説します。
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