好調な賃貸住宅が戸建売上減をカバー
こうした流れを数字でも少し追ってみましょう。今秋発表された旭化成ホームズの平成27年3月期第2四半期決算は、低層戸建売上が前年比6.1%減でしたが、中層戸建売上は前期比8.8%増、賃貸は低中層平均して前期比33%と、駆け込み受注のあった前年をさらに上回る結果となりました。最近の住宅地の施工現場には賃貸住宅系も増えている
次に、パナホーム。2014年度2Q決算で戸建売上は前期比4%減になったものの、賃貸建築は32%増と大幅な伸びを示しました。相続税改正を追い風に賃貸住宅が好調に推移し、戸建の売上減をカバーする形は、大手ハウスメーカーに共通した事象です。この攻めの賃貸住宅のキーワードについて、同社藤井社長は「賃貸は都心部と女性、この2つが戦略の要」と明言。強気の構えを見せました。
女性視点での賃貸モデルルームを開設
大阪本社ビル内にオープンした「ラシーネ・テーマスタジオ」
この「ラシーネ・テーマスタジオ」は、オーナー客をもてなすラウンジスペースと、DINKS向けプラン(1LDK)のモデルルームを設置し、同社が掲げる3つのくらしの価値「美しい」「楽しい」「優しい」を体感できる空間になっています。
DINKSをイメージした、スタジオ内の対面型キッチン
同社では、女性アドバイザーを含む8名体制で「ラシーネ提案プロジェクトチーム」を編成。こうしたモデルルーム拠点を活用しながら、賃貸住宅の質的向上と入居者満足、オーナーの安定経営につながる価値創造型賃貸を提案していくとしています。
特に、提案の対象はオーナーのほか、女性視点のコンセプトが響きやすいオーナーの奥様や娘さんなども想定。実際、この報道発表には京都初の「ラシーネ」実例である「ラシーネ五條」を建てた女性オーナーさんもゲストで登場、ラシーネを建てるまでの秘話を披露しました。その中に新しい賃貸経営のカタチが見えたので、次回ご紹介したいと思います。