厳しかった消費税8%反動

消費税5→8%の反動の度合を映した住宅大手ハウスメーカーの第二四半期決算発表が出ました。各社とも共通しているのは、メイン事業である注文戸建の受注が消費税反動の影響で前期比10-20%減と大きく落ち込んでいる点です。

決算発表

大手ハウスメーカー各社の決算発表。報道からの質問は消費税の影響に集中

「人口減少もあいまって、前回の消費税3→5%引上げ時よりも需要が回復しない感触」「住宅展示場への来場の戻りが想定以上に遅い」(決算説明での住宅大手トップ談)と、今秋行われた大手決算説明会での各社経営陣の表情は複雑さを隠しきれません。

勿論、比べている「前期」というのが、消費税5%のままで建築契約できる〆切で実質駆け込み受注のピークと盛り上がった2013年9月前を含んでいるため、前期と当期の比較ギャップが例年以上に大きくなったわけですが、それでもアベノミクスや低金利、相続税改正など追い風材料もある中でのマイホーム戸建の戻りが遅いということは、少子高齢化時代の住宅事業の変容を示しているともいえるでしょう。

そういう雨模様の各社決算にあって、唯一晴れ間が見えるのが、賃貸住宅事業。ちなみに、いわゆる大手ハウスメーカーが手掛ける賃貸住宅とは、2-3階建て低層アパートという分野で、構造は戸建と同様のプレハブ構造(鉄骨・木造は各社によって異なる)が大半となります。

プレハブ賃貸

プレハブ構造の賃貸住宅も戸建同様、工場でパーツをはめこんだ外壁パーツが現場に運び込まれる

一般的に賃貸マンションはデベロッパーやゼネコンが建設するが、コンクリート等の資材の値上がりと、現場でミキサー車を回しながら充填していくため、都心の密集市街地などでは工事が難しいこともあり、工場で窓などを組み込んだ外壁がパーツとして生産されるプレハブ構造の低層賃貸は「ここのところ税制要素以外での施工面でも追い風が吹いている」(大手ハウスメーカーのアパート事業部関係者)ようです。

人口半減時代の集住予測

ここで、ある本に興味深いことが書いてありました。世界で最速に人口減少を突き進む日本では、1つの核家族1住宅というマイホーム形態が薄まり、かつて江戸時代や大家族時代だった時のような「家族兄弟親戚という一族郎党が一つ屋根に住む集住」に戻っていくのではないかという予測です。

大家族

「1家族1住宅」時代が変わり、大家族住宅時代を予測する見方も。

経済が縮小し1人の世帯主収入で数人の家族を養えなくなると考えると、皆が収入を持ち寄り、支出を分担し合って1つ屋根の下に住んだ方が生活・光熱費コストがかからないというロジックです。既に核家族という言葉が消えつつある今、結婚しない弟や姉が一つ屋根の下に住むことを前提にした住宅商品も出て話題になりました。

この血縁家族の集住が血縁以外にも拡大する時、それは賃貸という形に自然に行き着きます。既にシェアハウスは若者を中心に支持されているスタイルですが、リビングやキッチン、カースペースをシェアし、炊事等を分担することで、別々の部屋ごとに消費するコストやエネルギーを効率化しようというと流れです。

シェアハウス

最近のシェアハウスも集住の流れの1つ?

目下、住宅業界で賃貸建築事業が好調なのは相続改正の追い風と言われていますが、長い目で見た時にファミリー層が減り、雇用や収入が収縮し、誰もが持家を持てる時代でなくなった時、安くて良質な賃貸の受け皿が豊富に用意されていることは社会インフラとしても必要なことといえるでしょう。

こう考えると、新しい住まいづくりの一つの選択肢として「賃貸に入居者として住み続ける」「その賃貸を経営する」という住まい方の二極化の流れが将来見えてきそうです。今回の記事は後者の「賃貸を経営する」オーナー層をターゲットにした賃貸住宅事業を取り上げています。