機能美に満ちたセゴビアの水道橋
直線とアーチの調和が美しい水道橋。周囲の家々よりはるか高くを水が流れていた
渓谷にまたがる形で水道橋が伸びている。高さを変えないように、丘の上ではこのように低く造られている
現在の橋が細くスタイリッシュなのは鉄やワイヤーを使った鉄橋だから。石を使って橋を造るとどうしてもずんぐりむっくりしてしまう。ところがセゴビアの水道橋は高さ28.5m、全長813mもあるのに、幅はたった2.4m。高さに比べて橋脚は細く、遠くから見るとまるで鉄橋のよう。
石が浮いているように見える水道橋のアーチ
現代の水道は水に圧力をかけることで水を遠くに運んでいる。しかしローマ時代の水道橋では、高いところから低いところに流れる重力を使うのみ。それで18km彼方にあるフリオ川の給水地点から、ほんの少しずつ傾斜させて水を引いている。
こんなものが1世紀に造られた。日本がまだ弥生時代の頃の話である。
ディズニー『白雪姫』のお城のモデル、アルカサル
アルカサルのエントランス。左の跳ね橋から入城する。橋の下は断崖で、残り三方も絶壁に囲まれている
サイドから見たアルカサル
旧市街から訪ねると、直線と柔らかい曲線で構成されたそのたたずまいはかわいらしく、出窓からいまにもディズニーのキャラクターたちが飛び出してくるのではないかと思うほど。
アルカサルの砲兵学校博物館。軍事関係の展示物が興味深い
ところがこの城、川の外側から見ると様子が変わる。川岸から立ち上がる高さ100mほどの断崖を利用して城壁を巡らせるその姿は剛健そのもの。アルカサルに入る道は地下を通る秘密の通路を除けば跳ね橋だけで、川と岩に守られた天然要塞であることがよくわかる。そして旧市街そのものが、三方を岩山に囲まれている。