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田村一行『おじょう藤九郎さま』インタビュー!(5ページ目)

大駱駝艦の拠点・壺中天(こちゅうてん)で、この冬上演を迎える田村一行振付『おじょう藤九郎さま』。青森県八戸地方の民俗芸能「えんぶり」を題材に10月に八戸市南郷文化ホールで上演し、好評を博した話題作が待望の東京初演を果たします。ここでは、開幕に先駆け田村さんにインタビュー! 作品の成り立ちとその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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現地で教わったものをどのように作品に落とし込んでいったのでしょう。

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八戸でのえんぶり稽古

田村>オリジナルの部分ももちろんありますが、習った振りはなるべくそのまま取り入れています。やっぱり生半可には変えられない。洗練されたものが持つとてつもない力がありますから、変える必要なんてない。コラボレーションだといって、何となく「えんぶり」の形をなぞるだけというのは避けたいという気持ちがありました。 踊るならちゃんと踊りたいし、表面ではない部分でつながろうとすればするほど、振りにはきちんと向き合うべきだと思ったんです。

組によってそれぞれ異なるものの、“一年の農作業をシュミレーションするかのように演じてみせる”という、だいたい30分くらいの大きな流れはどこも決まっています。最初は口上。 “えんぶり摺りの藤九郎が参りてそうろう”と始まります。それから地面をならすような仕草があったり、『祝福舞』という近年では子供たちが踊る演目や、田植えのシーンがあったりと……。また八戸は海の町でもあるので、大漁を祈るような海にまつわる踊りも入ってくる。最後は『畦留め』といって、水を堰き止めて、“これで虫けら一匹ここには入れません”というような台詞で終わる。

作品化しようとしたとき、考えれば考えるほど、本来の構成は残した方がいいのではないかと思えてきました。決まりがあるからこそ、遊べるということもある。実際僕は振付がある方が遊べるタイプなので、構成を残した方がより自由になれるのではという狙いもありました。

『摺り込み』『大黒舞』『田植え』『笠づくし(荒谷えんぶりにだけある演目)』など、「えんぶり」の動きをそのまま取り入れたシーンもあれば、ちょっと手を加えているシーンもあります。あと教わった演目以外でも、面白いと思った振りを自分の振付の中に散りばめたりもしました。舞台美術では、大雪の中で見た、あのうわっと旗が揺らめいていた感じを出したくて、のぼり旗をいっぱい使ったりしています。“名前の入った旗”というのは、飾ってみると、墓標に見えたり、存在を主張しているように見えたりと、いろいろな意味に見えてきて面白く、とても効果的だったと感じています。

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「又」(2014 ) (C)山本尚明



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