実際に「えんぶり」を踊った感想は? 舞踏との共通点は何かありましたか?
八戸でのえんぶり稽古
僕の考える踊りとの共通点はその辺でしょうか。そもそも、踊りに上手い下手ってないと思うんです。上手く踊ろうとしている踊りって僕は好きじゃないし、上手くやろうとすると大概失敗する。ただ上手い下手はないにしても、いい悪いはある。じゃあ何をいい踊りと思うかというと、自分の身体に起きていること、その感覚に嘘を吐かないで身体を動かされること。上手く表現してやろうとか、よこしまな心が走ると嘘になってくる。もちろんその感情だったり感覚を膨らませたり、デフォルメしたりすることはありますけ。けれど、とにかく上手い下手など超越して、いかに感じたことに忠実に身体を預けて立つか、ということが重要なんだと思います。
「オママゴト」(2010) (C)松田純一
上手い下手はないと言っても、作品として人前で踊るときは、合わせなければいけないことも出てくるし、“違う”ということも出てきます。もちろん、“かっこつける”という遊びもある。でも、根本にある大切な考え方は、「えんぶり」にしても大駱駝艦の踊りにしても同じなんじゃないかと思いました。えんぶりを踊ることを“摺(す)る”というんですが、地面を摺るような姿勢の低い重心だとか、単純に似ている部分というのはたくさん見つけられます。ただそういった表面的なことよりも、八戸の方々の「えんぶり」との接し方や考え方など、深い部分で僕たちの踊りと共通する部分はないかと探ったんです。
「オママゴト」(2010) (C)松田純一