金利は、歴史的な低水準 ローン控除は2017年まで最大400万円
借入が大きい場合は、総返済額が抑えられるメリットも
住宅ローン金利は、歴史的な低水準です。不動産関連の企業の方に話を伺うと、変動金利0.775%が良く利用される住宅ローンのようですが、さらに低い金利での融資もあるようです。借入額の大きい人にとっては、総返済額の圧縮につながります。住宅ローン控除を考慮しない場合、6,000万円を30年で借入れた場合、金利2%で総返済額が79,837,661円。これが金利1%の場合、総返済額は69,473,978円。1,000万円以上も総返済額が少なくて済みます。さらに、住宅ローン控除は2017年12月末までは、最大10年間で400万円。共働きで夫婦で6,000万円のローンを組むのであれば、ローン控除のメリット大きく使えるケースもあるでしょう。都心エリアのマンションの価格上昇の一因は、こうした低金利やローン控除の恩恵も少なからずあると思います。それに加え、いよいよスタートする相続税の基礎控除の引き下げと、最高税率の引き上げ。金融資産をマンションなどの不動産に換え相続税の軽減をはかる動きも、顕在化しています。将来的に税制が変更される可能性もあるので、対策が有効かどうかは一概には言えませんが、不動産価格を押し上げている要因の一つになっています。
前回ピーク時は、東証REIT指数が下落に転ずる
価格の上昇トレンドはいつまで続くのか?
全国の公示地価の動向を見てもわかるように、地価トレンドが一律に動くわけではありません。ましてや人口減少が予想されている中、2020年に向けて一本調子でマンション価格が上がることは考えにくいでしょう。とすれば、何れは下落局面もきっと来るはずです。では、どうなるとマンション価格が下落していくのかを考えてみましょう。直近で、マンション販売が低迷したタイミングといえば、2008年9月のリーマンショックが思い浮かびますが、実はその1年以上前から不動産市場の変調は顕在化していました。特に上場リートの株価指数の一つである東証RIET指数は前年の2007年5月末をピークに下落に転じ不動産市場の低迷の起点になりました。不動産投資市場の価格は、負債を活用したレバレッジ(テコの原理)によってよりトレンドが表れやすくなっています。また、前ページでも紹介した地価ルックレポートも地価トレンドの先行指標です。全国の150地点(現在)の地価動向を四半期ごとに表わしている指標で、上昇地点数や下落地点数の動きで地価トレンドを把握しやすいです。過去には、リーマンショック前の2007年第4四半期から2008年第1四半期にかけて上昇地点数が大きく減少。地価のトレンドが変調が見られました。今後下落地点が表れてくるようだと、トレンドの変化のサインになります。
中古マンションのトレンドも価格動向でチェックしたいポイントです。東日本不動産流通機構が毎月発表している中古物件の契約状況データ「月例速報」はとても参考になります。指標データの中で、中古マンションの成約価格や成約件数もトレンドを見る一つの目安ですが、注目したいのは、在庫の件数です。価格上昇局面では在庫の減少傾向が顕著で、逆に価格下落局面では在庫件数が増加傾向になりやすいです。2013年1月頃から在庫件数は減少していましたが、ここ半年ぐらいは横ばい傾向にあります。一段の価格上昇にはこうした在庫件数が減っていくでしょうし、在庫件数が増えるようだったら価格トレンドが下落に転じる可能性があるということだと思います。
価格面では、2014年に比べ買い時とは言いにくい2015年ですが、この年だから出会えるマンションがあるのも事実です。新築戸建ての在庫件数が高水準で、比較的選びやすい環境であるように、価格上昇にともなう販売鈍化が懸念される2015年においては、じっくり選びやすくなるといったメリットもあるでしょう。住居として、複数のマンションを買うわけではないのですから、あきらめるのは早計です。「どの場所を選ぶか」というよりも「どのマンションを選ぶか」といった視点で考えれば、理想のマンションに出会える確率も高くなるのではと思います。昨今の混沌とした世界経済の中、方向感が見えにくいのは事実です。しかし、今を大切に考えるのであれば「2015年が結果的に買い時だった」と感じる人もたくさんいるのではないでしょうか。江戸時代の浮世絵師「葛飾北斎」は、90歳で生涯を閉じるまで、何と93回も引越しをしたそうです。当時の江戸では、引っ越す機会も多かったようですか、創作の源の一つだったことは想像できます。また、「孟母三遷」(孟子の母が、子供の教育への悪影響を避けるため、三度住居を移した)のことわざにもあるように、住む場所が人の一生に大きく影響することは事実でしょう。いつの時代も大切なのは、過去や未来よりも今。自分の気持ちに沿って、次のステップを考えてみてはいかがでしょうか。