ミュージカル/注目のミュージカルレビュー・開幕レポート

名作『タイタニック』鈴木綜馬&藤岡正明撮影レポ(2ページ目)

ついに待ち望んだ作品が(拍手)!『ナイン』『ファントム』などで知られるモーリー・イェストンの名作ミュージカル『タイタニック』が、気鋭の若手演出家トム・サザーランドの新演出により、7年ぶりに還ってきます。鈴木綜馬さんと藤岡正明さんのビジュアル撮影現場にお邪魔し、その様子をレポ&ご本人達にお話を伺いました。オーディションのことや、懐かしい7年前のお話も!

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

ミュージカルガイド


オーナーのイスメイは外面が良い一方、人間臭い内側も
持っているはず。そんな内面を赤裸々にリアルに描き出したい

■撮影レポ&インタビュー~鈴木綜馬さん

2007年のグレン・ウォルフォード演出版で、無線係ハロルド・ブライド役を演じられた綜馬さん。今回は、オーナーのイスメイ役。撮影時はキリッと上品な出で立ち。スマートな上流階級の紳士の雰囲気は、綜馬さんそのものですね。シャイで実直なブライドと違い、イスメイはある意味混沌とした役。綜馬さんがどう演じられるのか、注目です。
宣材写真

撮影:Miow Hirota

小さな子供から老人まで老若男女が登場して、
それぞれにスポットが当たる

——綜馬さんはかつて無線係ハロルド・ブライド役でしたね。「夜空を飛ぶ」のナンバーが素晴らしかったことをよく覚えています。
僕も大好きな役で相当思い入れがあります。やはり楽曲が素晴らしいですね。上垣聡さんの指揮が素敵で、オーケストラがとても重厚な音の編成になっていました。メインキャストはいつもソロで歌っている人たちばかりでしたから、コーラスすると自分の声が聞こえない。「返り音がありません!」なんて言う方もいて、コーラスに返りはないよ…と、笑い話も懐かしいですね。

『タイタニック』には小さな子供から老人まで老若男女が登場して、それぞれにスポットが当たります。スミス船長役の宝田明さんがランドマークのような存在感を持っていらっしゃったのと、年配の一等船客イシドール・ストラウス役の光枝明彦さんも素晴らしかった。年齢層が特化されず、すべての年代、そして階級を網羅しているのが面白かったです。

ただ日本語が難しいんですよね。ロンドン版では機関士バレットはブルーワーカーのコクニー訛りで喋り、無線係ブライドはホワイトカラーの言葉遣いで喋る。2人のやりとりが巧妙で、英語だとその階級差が出しやすいんですけどね。「プロポーズ/夜空を飛ぶ」のデュエットが岡幸二郎さんとだったのも思い出深いです。

撮影レポ写真

真剣なまなざしで遠くを見つめる。

——英語で聴くと、曲と歌詞が見事にはまっていて、これは作詞作曲両方を手掛けるモーリー・イェストン作品ならではだと、いつも感心してしまいます。船の様子も、すごくリアリティがあるんですよね。
当時、僕も横浜のカフェでお茶してて、ふと大桟橋に行ったら、飛鳥IIが泊まっていて、なんだこの巨大な船は?と驚きました。頭の中でイメージしていた豪華客船…子供の時に見たフェリーとでは比べ物にならない大きさだったんです。ちょうど乗船セレモニーがあって、楽団の人たちが演奏し、乗客が甲板でシャンパンを飲んでいたり、テープを投げたり。それを目の前で見て、これは運命だな、と感じました。
出航とは、ただお祝いというだけでなく、すごく神聖でしかも豪華な儀式だと。冒頭のナンバー「ゆけ、タイタニック」とぴったり合うと実感しました。

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