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牧阿佐美『A.M.ステューデンツ』インタビュー! 後編(6ページ目)

プロダンサーの育成を目指し、1979年に結成されたA.M.ステューデンツ。牧阿佐美バレヱ団主宰・牧阿佐美氏による指導のもと、これまで数多のダンサーを輩出してきました。この秋には第31期生オーディションを開催し、明日のスター候補を募ります。ここでは、主宰の牧阿佐美氏にインタビュー! A.M.ステューデンツの教育方針とその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


牧先生は二代目で見事に花開きました。

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(C) TOKIKO FURUTA

牧>苦労の時代でしたからね。私たちの時代は真冬の滝行なんかもやらされましたよ(笑)。今は親がとてもそんなこと許さないでしょうし、今の子たちはそんなことできないですよね。近頃はバレエのお教室でも、“ウチの子が掃除をさせられた”と言って子どもを辞めさせてしまうひともいるらしいですから。優秀な子を育てるには、親から離すことも必要なのかなと思います。

“手がキレイに見えないからバレエは辞めちゃおう”というのではなく、バレエが好きなら“どうやったらキレイに見えるか”と食い下がってくる子を育て
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(C) TOKIKO FURUTA

ていくしかない。けれど突出した人材を育てるには、特別な稽古をしないとムリだと思います。そのためには、やはり政府が動くのが一番いい。日本はどんなに素質ややる気がある子でもお月謝を払わなきゃならないので、国がサポートしてくれたら本当にありがたいなと思います。政府に援助をしてもらい、才能のある子たちに芸術に関するトータルな勉強をさせる。ひとりのアーティストを育てるためには、舞台や絵画なども本当にいいもの、本物を沢山みせなければなりません。贅沢をさせるという意味ではなくて、本人にも苦労を与えることが大切です。

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(C) TOKIKO FURUTA

芸術にしても技術にしても全てそうですが、政府が才能のある子を育てることが必要だと思う。けれど政府も平等を重んじる傾向にあるから、底辺を広げるばかりで才能のあるひとのために予算をとってない。その辺りが問題だなと感じています。国民が平等、平等と言っている限り政府も動かないし、突出した子がいても才能を伸ばすのは難しいですよね。

一位をつくってはいけないという風潮があるけれど、みんなで一位になるなんてありえないし、才能なんて生まれたときからみんな別々です。バレエの才能は弱かったかもしれないけど、その代わり別の才能があるかもしれない。きちんと才能を見分けて、育てていく国営の芸術学校がひとつあればいいのですが、日本はなかなかそこまでいかないというのが実情です。だからみんな外国に出てしまう。科学者でもなんでも海外の方が理解が違うと言って、才能がどんどん流出していますよね。時代が変わっていますから将来的にどうなるかわからないですけど、みんな平等にという感覚では、政府も優秀な子を育てるのは難しいと思います。

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(C) TOKIKO FURUTA


A.M.ステューデンツを通し、牧先生が今後のバレエ界に望むものとは?

牧>A.M.ステューデンツで学んだひとたちがいろいろな場所に広がって、いろいろなバレエ団で活躍していってくださればいいですね。いいダンサーが育ち、いろいろな場所で活躍すること。そこに、私がやってきたことの意義があるのではないかと思っています。

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(C) TOKIKO FURUTA




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