その椅子に相応しい人が求められるということ
キャリアの新しい捉え方、それは「積み重ね」ではなく、「繋ぐ」ものである
1990年代にグローバル化に取り組んだ企業では、2000年以降のグローバル企業では当たり前のことなのです。例えば、ガイドが在籍していた日本IBM社の現社長の国籍はご存知でしょうか?グローバルという言葉が出現する前のインターナショナルの時代は封建領主のごとく、日本人が日本IBMを治めていました。グローバル企業はその椅子に最も相応しい人を全世界のリーダー人材データベースから抽出するので国籍は関係ありません。今、日本IBMを治めているのはドイツ人です。
「積み重ね」ではなく、「繋がり」という捉え方
そもそも多くの日本人にとって、キャリアとは「積み重ねるもの」「蓄積するもの」といったイメージが強いのではないでしょうか。せっかく積み重ねたものや蓄積したものが陳腐化し、無に帰することへの落胆、喪失感こそが、キャリアショックを引き起こす要因といえましょう。例えば、専業主婦の方々が、結婚や出産を機に会社を退職され、子育てで一定期間会社から離れると元の職場や仕事に復帰できないから、キャリアに不利に働くと感じてしまうのも、キャリアを一つのことの積み重ねと捉える典型例でしょう。
実は過去の仕事から得た経験知は、会社や職務などの環境が変わっても、自分の中に身についているはずです。会社や仕事を旅することで個性や能力が形成されていくのです。同じ会社で一つの仕事を続けることに執着するより、過去のキャリアを新しい仕事につなげて、培ってきた能力により磨きをかけるという発想の転換。
それこそが、今のような変化の激しい時代に求められるキャリア形成の視点であると考えられます。これからは会社に期待するのではなく、自分自身の可能性に期待して下さい。