キャリアショックが現実に……
キャリアショックを受け、こんな光景が今後は増えていくことだろう
キャリア論の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の高橋俊介氏の代表作の一つである『キャリアショック』で、そうした危機が日本のビジネスパーソンにも迫っていると警鐘が鳴らされたのは2000年12月のことでした。
また、中長期的なキャリアビジョンに従い、能力やキャリア開発を行ったとしても何が起こるかわからないご時世、目の前の事にベストを尽くすことや人との出会いや出来事という偶然性からキャリアを開発するという考え方、「計画的偶然性(プランドハップンスタンス)」も近年重要視されています。
『キャリアショック』から早10年以上が経過し、グローバル化の中で多くの企業が全体最適を図るため、インテグレーション(統合)という旗印の下、ドラステックな構造改革が求められています。目の前の仕事を失うようなキャリアショックに見舞われる人は今後確実に増えていくことでしょう。
この10月に職能給から職務給に移行した日立製作所は報酬革命を起こしました。職務給は人の能力ではなく、仕事そのものに値段が付くので、そのポジションに一番相応しい人がその椅子に座ることになります。人から椅子へと価値観が180度変わったのです。「組織は戦略に従う」というのがグローバルスタンダードなのです。
10年前、このようなことが起こると予測した社員はほとんど皆無だったのではないでしょうか?長期の海外赴任者のようなグローバルなキャリアの経験者はある程度予測していたことでしょう。インターネットというデジタル通信革命やWTO(世界貿易機構)による海外取引における世界標準化などが拍車を掛ける形で結果的に世界市場が形成されました。
これからは井の中の蛙では成り立ちません。グローバル社会で勝ち抜くためには地球全体で物事を捉える思考様式(マインドセット)を持たなくてはならないのです。