損害保険/損害保険関連情報

損害調査マンに訊いた土砂災害のウラ側1(2ページ目)

わが国では土砂災害がほぼ毎年発生していますが、土砂災害による住宅や家財の被害は、火災保険でカバーが可能です。ただ地震や水災といった広域災害とは異なり、土砂災害は個別性の高い特殊な災害で、損害調査に困難が伴う場合もあるそう。損害調査担当のH氏に伺った今回のお話は、多くの方が初めて耳にする興味深いお話ばかりです。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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住宅修理業者の見積もりを取って判定するケースもある

土砂災害による被害は個別性が高く、損害調査までに時間がかかることも

土砂災害による被害は個別性が高く、損害調査までに時間がかかることも

清水 損害調査に着手できた場合、個別性が高い土砂災害の損害にどう対応するのですか?

Hさん 修理業者の見積もりを取っていただき、それを精査する段取りになります。具体的には、内装をやり直したり、土砂が寄りかかっている部分の外壁を修理することがあると思います。

清水 家財は、電化製品や家具にどのような損害が発生したか、1つ1つ確認していくんですか?

Hさん 損害を受けたもののリストを出してもらいますね。その上で実際の損害を出して保険金を算定します。

清水 泥をかぶったものはどのように損害を判定するんですか?

Hさん 壊れ具合で判定しますが、もろに泥をかぶっている家財はもとより全損でしょう。あとは復旧できるものは修理見積りで判定します。土砂でそのもの自体が壊れていれば修理のしようはありませんが、逆に傷がついただけで修理OKのものもあるので、そういった点を判定していきます。

清水 損害があるかどうかは、修理して原状の機能が回復できるかどうかを基準に判断するわけですね。

Hさん そうですね。たとえば、内装が水で濡れたことをどこまで損害とみるのか。内装をやり直す必要はあるとしても、柱がぬれたから柱を替えるということはないですよね。濡れたからといってかならずしも損害がでるわけではないので、濡れただけでは損害とみなさないものもあります。損害によって生活に支障が出て、元の生活に戻るために必要な費用を見るという考え方で、壊れたところのみを損害と見ます。原状回復といったとき、火災保険上では「機能上の復旧」が目的になるのです。

清水 当然のことながら、「濡れたから全部取り替えないと気分が悪い」ことまでは見ないと。そういうことですね。

Hさん そういうことになります。
(以降、2に続く)

【関連リンク】
国土交通省 土砂災害から身を守るために知っていただきたいこと
国土交通省 土砂災害防止法の概要 
国土交通省 土砂災害防止法に基づく取り組み 
各都道府県が指定している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域 
全国における土砂大害警戒区域等の指定状況 
ハザードマップポータルサイト 
国土地理院 
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