廃墟に眠る多様な建築様式
池に囲まれたワット・プラ・ラーム。トウモロコシのような仏塔がクメール式の特徴。この寺院にはウートーン王が眠っている ©牧哲雄
ビルマに破壊されたワット・プラ・マハタートの仏頭。仏像はその首を切り落とされたが、木に取り込まれてこのような姿になったといわれる
目を引くのはアンコールに似たクメール式の仏塔。ウートーン王の墓であるワット・プラ・ラーム、仏陀の遺骨が収めらたといわれる仏舎利塔ワット・プラ・マハタート、アンコールの宝が見つかったワット・ラチャブラナなどがこれにあたる。
鋭い円錐が特徴的なワット・プラ・シー・サンペット
そしてスコータイから伝わるタイ特有の寺院建築が、高さ約20mの大仏を祀るウィハーン・プラ・モンコン・ボピット、レリーフが美しいワット・ナー・プラメン、アユタヤから20kmほど離れた場所にあるバン・パイン宮殿などだ。
このように、多様な文化を融合させながら厳格さを追い求めたアユタヤ文化。その矛盾は、不規則に打ち捨てられた廃墟でありながら、熱帯の重い青空と輝く緑に調和する不思議な古都を彩って、泣けてくるほどの美しさを描き出す。