プロでも見分け方の難度が高い毒キノコ

毒キノコの見分け方!危ないキノコによる食中毒に注意

毎年毒キノコで食中毒になる人が後を絶ちません

いよいよキノコ狩りシーズンの本番。ですが秋の味覚を楽しむ人が増えてくると、必ずニュースになるのが毒キノコによる食中毒の問題。その患者数は毎年100~200名にものぼり、多くが10月に集中して発生しています(厚生労働省調べ)。

本当にプロでも見分けるのが難しいのがキノコです。 日本では1500種類以上のキノコがあるといわれ、そのうち食べられるとされているのは300種類。

面倒くさいことに、食用に適すかどうかが不明なものも多く、ウラグロニガイグチのように可食とされているのに中毒が発生するものや、ベニテングダケのように有毒成分を含みながらも地域によっては独自の調理法で食用としているものなど、その境界があいまいなものも存在しています。

この記事を書くにあたりキノコ採りに精通している達人にも話を聞きましたが「キノコ採りはあまくないよ。中毒になる覚悟で食べなきゃ決して覚えられない」というような過激な意見が飛び出すほど。これは大げさな話ではなく、達人とよばれる人たちは体を張ってキノコの道を極めてきたのです。それだけに素人がおいそれと手を出すのは難しいと言えるでしょう。
   

もっとも誤食が多いツキヨタケとは?

重なるように生えるツキヨタケ(東京都福祉保健局のホームページより)

重なるように生えるツキヨタケ(東京都福祉保健局のホームページより)

ヒラタケであると販売していたものに有毒のツキヨタケが混じっていて、購入者が中毒症状を起こした事件が過去にありましたが、このふたつのキノコはどちらもブナやミズナラなどの枯れ木や倒木に重なって群生するので、プロでも間違えることがあるのです(キノコ狩り歴10年以上のベテランの中毒報告例もあり)。


誤ってツキヨタケを食べると、食後30分から数時間で嘔吐や下痢、幻覚、脱水症状などが起き、死亡例の報告もあります。同じく食用のシイタケやムキタケも同じような時期に同じ場所に混成するため、誤食が後を絶ちません。キノコによる食中毒のうち年間約3割がこのツキヨタケによるもの。

一般的に、ツキヨタケの特徴としてキノコを割ったとき黒いしみがあることや、暗い場所では発光するなどと言われますが、これも素人にわかりやすい判別基準とは言えません(他にもひだの色、傘の色、幹の長さなどの違いもある)。かなりベテランのキノコハンターでもヒラタケやムキタケはツキヨタケと見分けがつきにくいので、みつけても採らないという人もいるほどなのです。
 
ドクツルタケと並ぶ猛毒のシロタマゴテングタケなど

ドクツルタケと並ぶ猛毒のシロタマゴテングタケなど

このほか誤食が多いキノコとしてクサウラベニタケ(別名「名人泣かせ」と呼ばれるほど、食用のウラベニホテイシメジやハタケシメジ、ホンシメジ等と似ており判別が難しい。中毒症状は食後10分から数時間で神経系、消化器系の中毒を起こす)、いかにも食べられそうな名前のカキシメジ(食用のニセアブラシメジ、ヌメリササタケ、チャナメツムタケに似て、いかにも茶色くておいしそうな見た目。食後30分で頭痛、腹痛、嘔吐、下痢を引き起こす)、 ニガクリタケ(枯れ木や朽木に群生するクリタケによく似て誤食が多い。苦みが強いので口にするとクリタケではないことがわかる。中毒症と状は嘔吐、下痢、けいれんなどで死亡例も報告されている)、猛毒のドクツルタケ(嘔吐、下痢、腹痛、肝機能や腎機能障害などを引き起こし死に至ることもある)などがあげられます。

 

キノコ狩りの鉄則

「名人でも間違えるなんて、私たち素人はどうすりゃいいのよ??」。そんな気持ちになるのも無理はありません。いや、実際の話、自分で採ったキノコを食べさえしなければ中毒になることはほとんどないのです(中毒の約90%は家庭での調理で発生)。とはいえ、やっぱり一度は自分で採ったキノコで旬を感じたい!そして食べる楽しさを知ると、もう一気にそれこそ「キノコ狩り中毒」になるものしかたがないもの。そこで、ここでは食中毒にならないための鉄則をご紹介します。
 
ムラサキシメジを大量に採取してきた名人に話しを聞く

ムラサキシメジを大量に採取してきた名人に話しを聞く

1:観察会に参加すべし
 運よく周りにキノコ達人がいる人はラッキーですが、そうでなければ、キノコ狩りの道に入るのは難しいもの。 いや、実際に達人がいたとしても、おいしいキノコの採れる場所は親子でも教えないというくらい、奥義を聞き出すのは容易ではないのです。ではどうするか?

もっとも手っ取り早いのは、自治体やNPOが主催するキノコ観察会に参加すること。専門家が同行してキノコの基本を教えてくれます。積極的に参加すると正しい知識を身につけられるだけでなく、運がよければキノコ狩り仲間も見つかるかもしれません。

2:信頼できる図鑑を複数手に入れるべし
キノコ狩りの必需品といえばキノコ図鑑。とはいえ、図鑑を見ただけでは完璧にキノコの種類を判別するのは不可能です。キノコは育った環境によって同じ種類でも色や形も様々。また地方によって呼び名が違うものもあります。そこで信頼できる複数の図鑑を手に入れることが必須となります。

おすすめは山と渓谷社のカラー名鑑シリーズ、そしてキノコを実際に採取する地域版の図鑑(地元の新聞社などが出版しているもの)、さらに毒キノコを専門に扱った図鑑などを揃えておくとよいでしょう。
  3:ひとつの山を徹底的に覚えるべし
達人と呼ばれる人たちは、ひとつの山へシーズン中に何度も足を運ぶため、そのエリアに生えるキノコを熟知しています。キノコを覚える時はあちこちの山に行くよりも、毎回、同じ場所に繰り返し行くのが近道。どの場所に、どの季節に、どんな種類のキノコが生えるのか。そして、そこで採れるキノコの特徴をしっかりと頭に叩き込みましょう。
 
鮮やかな色でも食用となるタマゴダケ

鮮やかな色でも食用となるタマゴダケ

4:迷信を信じるべからず
 縦に裂けるキノコは安全であるとか、ナスと一緒に煮込むと毒が消える、塩漬けにすると安全、かじってみて苦くないものは大丈夫、ナメクジや虫が食べているキノコは安全、派手な色は毒だが地味な色のキノコは食べられるなどはすべて嘘。決して信じないこと。

5:生で食べるべからず。そして食べ過ぎに注意すべし
可食とされるキノコでも生食厳禁というものも少なくありません。野生のキノコは必ず塩茹でするなどして中までしっかりと火を通しましょう。火を通すというと「焼く」イメージが強いかもしれませんが、均一に中までしっかり火を通すには不適です。茹でるほうが確実。

そして決して食べ過ぎないこと。もともとキノコは消化がよくないし、そもそも菌類ですから体調によってはおいしいとされるキノコを食べてお腹をこわすこともあるのです。
 
秋の味覚キノコ。もしもこの中に猛毒のキノコが混じっていたら…

秋の味覚キノコ。もしもこの中に猛毒のキノコが混じっていたら…

6:疑わしきは食べるべからず
 採取したキノコの判断がつかず、下山後、詳しい人に見せても色や形状などに変化が起きているなどして正確な判断が難しい場合もあります。なので確信をもてるもの以外は食べないのが鉄則。

また、持ち帰ったもののなかに毒キノコの混入が発覚した場合は、一緒に袋等にいれていたキノコすべてを食べないほうがいいでしょう。毒キノコの菌糸が散らばっているわけですから危険です。幻覚キノコなどを面白半分に食べるような行為も慎みたいもの。

最後に繰り返しますが、ベテランでも中毒を起こすことがあるのが野生のキノコ。確信がもてるもの以外は絶対に口にしないようにしましょう。


【関連記事】

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。